特集・企画記事 ― ゲームプログラマーが押さえておきたいプログラミング言語10選

ゲームプログラマーが押さえておきたいプログラミング言語10選

ゲームの開発に使用されるプログラミング言語は、プラットフォームや使用ツール、制作会社、ゲームのジャンルなどによって使い分けられています。
一人のプログラマーがすべての言語を使いこなすことは困難ですが、チーム(プロジェクト)内で担う役割、今後制作を行うであろうプラットフォームやゲームのジャンルなどに合わせて、 使えるプログラミング言語を増やすことはキャリアアップにもつながります。また、たとえ使いこなせなくとも、最低限の知識を持っておけば、ゲーム制作の場面において必ず役に立ちます。

ゲームプログラマーが押さえておきたいプログラミング言語10選

プログラミング言語は、種類によって見た目(コード)が大きく異なりますが、日本語と英語のような差ではなく、方言のようなものと考えられます。 つまり、それぞれの文法がわかれば理解できるわけです。中でも特に大切なのが「関数」「変数」「配列」「if文」「for文」「switch文」というプログラムの構成要素です。 これら6つの基礎がわかれば、この世界に存在する大半のソース(プログラミング言語で書かれた文章)が読めるようになります。
そこで今回は、ゲーム開発の現場でよく使われている10のプログラミング言語をピックアップ。それぞれの特徴を解説していきます。(2021年6月時点)

ゲーム開発の現場で使われているプログラミング言語

実際に、どのプログラミング言語を採用するのかは、プラットフォームやサーバーの構成といった外的要因に加え、メンバー(プログラマー)の熟練度などによって決められます。 また、プロジェクトやプログラマーごとに制作に対する考え方も異なるため、どのようなタイトル、開発現場でも使えるマルチなプログラミング言語は存在しません。
さらに、プログラマーの(プログラミング言語に対する)好みや相性、既存システムの有無なども大きく影響します。 例えば、同一プラットフォームで続編を制作する場合、ゼロからシステムを構築しない代わりに、前作のソースを活用する=前作と同一のプログラミング言語を使用するケースが大半でしょう。

そうした前提を踏まえた上で、現在よく使われているプログラミング言語とプラットフォームをまとめました。 なお、「おすすめ度」は使用頻度と求められるレベルを5段階(★が多いほどおすすめ度が高い)で、 「難度」は環境整備のしやすさ(★が多いほど難しい)を基準に、シリコンスタジオエージェントが独自に採点したものです。

■ゲーム開発でよく使われているプログラミング言語10選

プログラミング言語
おすすめ度
難度
よく使われるプラットフォーム&開発環境
C++
コンシューマー各機種、Windows、
Unreal EngineCocos2d-x
C#
Unity
Java
アプリ(クライアント)、サーバー
Android、その他のOS
JavaScript
クライアント、 UnityCocos2d-x
Go/Golang
アプリ(クライアント)、サーバー
Objective-C
アプリ(クライアント)、iOS
Swift
アプリ(クライアント)、iOS
PHP
サーバー
Ruby
サーバー
Python
サーバー

C++(シープラプラ)の特徴

「C++」は、基本的な構成要素などが多くのプログラミング言語のベースとして発展、継承されています。コンパイラを通してプログラムを実施するため、実行速度が速いことが特徴です。

ゲーム制作の世界では、PlayStation 2などの第6世代から家庭用ゲーム機(コンシューマー機)で使われるようになり、 現行のPlayStation 5はもちろん、Xbox SeriesやNintendo Switchなどで欠かせないプログラミング言語となっています。 Unreal EngineCocos2d-xなどのゲームエンジンに採用されている ほか、XboxやWindowsのDirectXもベースはC++です。

ゲームに関するあらゆることを実行できる万能型のプログラミング言語ですが、一方でプログラムの実行に関するものをすべて用意する必要があることが難点です。
家庭用ゲーム機の開発に携わるゲームプログラマーやUnreal Engineを使う場合は習得必須の言語です。

C#(シーシャープ)の特徴

「C#」はUnityの登場によって、認知度が一気に高まったプログラミング言語です。
C#はJavaなどをベースにマイクロソフト社が開発した言語で、C言語およびC++言語の後継言語として位置づけられており、C#の「#」という記号は、この言語が「C++++言語」であるという意味合いを含んでいます。

スマホアプリゲームをはじめ、コンシューマーゲーム、PCゲーム、XRコンテンツの開発にも使われており、Unityとともに今やゲーム開発にはなくてはならない存在といえます。
Unityはさまざまなプラットフォームに対応した開発環境として、多くのゲーム会社で利用されているので、C#はこれからゲーム開発プログラマーを目指す人が習得する、もっともおすすめのプログラミング言語といえるでしょう。

Java(ジャバ)の特徴

「Java」は、Android向けのアプリで標準開発環境となっているプログラミング言語です。 Androidでは、ゲームエンジンなどを使って開発を行った場合も、最終的な出力はJavaの「APK」ファイル形式で行います。

JavaはAndroidに特化しているのではなく、すべてのOSへのサポートが行われていることも特徴で、アプリケーションサーバーで活用されていることもあります。 この場合、サーバーソフトウェアの「Tomcat」が採用されるケースが多いようです。Javaがサーバーで使われるのは、PHPなどのスクリプト言語より処理能力に優れていることが理由となっています。 ただし、運用面ではメンテナンス時や(システムを止めずに変更を適用する)ホットデプロイなどにテクニックを要することが課題です。

スマートフォンのアプリは、iOSとAndroid両方のプラットフォームでのリリースがスタンダードになっていますので、この道を目指すプログラマーにとっては必修のプログラミング言語といえます。 インストールからビルド環境の整備など、一通り押さえておいたほうがいいでしょう。
なお、Androidを搭載したスマートフォンは機種が多彩なためOSのバージョンも幅広く、「動作しない」「エラーが出る」といったトラブルも発生しやすい点には注意が必要です。

JavaScript(ジャバスクリプト)の特徴

おもに、ウェブのアプリ開発に使われているのが「JavaScript」です。多くのブラウザゲームで採用されているほか、 スマートフォンのゲーム内で「お知らせ」などをブラウザ表示するときにも使われていることがあります。

ウェブの世界では、アプリ(ゲーム)に限らず、動的なサイトでは、必ずJavaScriptが使われているといっても過言ではありません。 開発環境の整備も容易で、ブラウザでプログラマーが書いたソースを即実行(テスト)できるメリットがあります。 ただ、ブラウザに依存している部分があるため、あらゆるブラウザ(およびバージョン)で動作確認を行わないといけない点はデメリットといえるでしょう。

ゲームプログラマーよりウェブエンジニアの領域にあるプログラミング言語ということもあり、 ゲーム開発に付随する周辺WEBサービスの開発で求められることが多い言語です。

Go/Golang(ゴー/ゴーラング)の特徴

「Go」言語はGoogleが開発したオープンソースのプログラミング言語で、C言語やJavaのように、コンパイラによって作成されたオブジェクトを実行することによって動作するコンパイル言語です。
シンプルさを追求して開発された言語で、コーディングしやすい簡潔な構文や高速な処理で効率良くプログラミングができることが特徴です。

Go言語は比較的新しいプログラミング言語ですが、Google自身がYouTubeのシステム開発にGo言語を使用した例をはじめ、有名なWebサービスの設計開発・スマートフォン向けのアプリ開発などで採用されるケースが増えており、 ゲーム業界においても次世代のゲーム開発にGo言語を用いる企業が存在します。
実績と将来性の高い言語として注目されており、また需要に対して十分なスキルのあるGoエンジニアの数がまだ少ないため転職市場での価値も高く、 習得におすすめのプログラミング言語といえるでしょう。

Objective-C(オブジェクティブ-シー)の特徴

「Objective-C」は、Apple製品上でアプリを動作させるために必要なプログラミング言語です。当然、AppStoreで販売するすべてのゲームの開発に欠かせないものとなっています。

開発環境として使える機材はマッキントッシュ(Mac)だけなので、機材はもちろん、各ソフトウェアのアカウントなども合わせて整備する必要があります。 同時に、Appleの統合開発環境である「Xcode」も使いこなせなければなりません。 また、Apple社は規約の更新が頻繁なため、最新の情報を押さえておかないと、後々問題が発生することもあります。

スマートフォンの世界シェアではAndroidが優勢ですが、日本国内ではiOS(iPhone)の人気も根強く、決して無視できない市場となっています。 iOS向けのアプリやゲーム開発を行う制作会社であれば、絶対に覚えておきたいプログラミング言語です(iOSでリリースをしない場合は優先順位を大きく下げてもOKです)。

Swift(スウィフト)の特徴

Objective-Cの後継として登場した「Swift」は、iOS向けアプリの開発に使用するプログラミング言語です。 覚えるのが簡単で、マスターするための学習コストが低いことがウリとなっています。 iOS向けのアプリでは採用率が高まっていますが、ゲーム開発の現場ではあまり使われていません。

Objective-C同様、開発環境はMacのみであり、開発したアプリが動作するのもiOS上だけとなります。世界展開を見据えるスマートフォンのゲームの場合、Androidでのリリースが標準ですが、 国内市場がメインであればiOS向けも欠かせません。そのため、Swiftも覚えておいて損のないプログラミング言語ではあります。
ただし、AndroidとiOS両方に対応するゲームを制作する場合、SwiftはAndroidへの移植難度が上がるので選ばないほうがいいでしょう。

PHP(ピーエイチピー)の特徴

「PHP」は、スマートフォンのアプリや、ブラウザを使うソーシャルゲームのサーバーでよく使われるプログラミング言語です。 現在のサーバー開発環境は「LAMP(Linux/Apache/MySQL/PHP)」が主流となっており、経験者や参考文献が豊富で、これから学ぶには最適な学習環境が整っています。 なお、PHPでの開発に際しては、必要となる基礎的な部分や汎用性の高いものを構造化した「フレームワーク」が導入されているケースも多く、 その場合はPHPだけでなくフレームワークへの理解が必要となります。

PHPで構築した場合、サーバーにデプロイ(運用環境にアップ)するとすぐに反映されることも特徴で、ホットデプロイが求められる環境においても優位性があります。 ただ、Javaで構築したサーバーよりも動作速度が出ないケースもある点には注意が必要です(速度の問題はサーバーのスペックで解決することもあります)。

PHPは開発が進めやすいこともあり、需要は当面尽きないと予想されます。サーバーエンジニアとしてキャリアを積みたいのであれば、 必ずマスターしておきたいプログラミング言語といえるでしょう。

Ruby(ルビー)の特徴

「Ruby」は、スマートフォンのアプリやブラウザを使うソーシャルゲームのサーバーサイドで使われることが多いプログラミング言語です。 可読性を重視していることから、比較的初心者にも扱いやすいといわれており、ゲームに必要なExcelのデータを「CSV」形式にコンバートするバッチファイルや、簡易なツールの開発などにも利用されています。

なお、標準関数がバージョンによって異なるため、実際にゲームを動かすバージョンと開発に使うバージョンをそろえておかないと、思わぬ事故が発生します(ほかのプログラミング言語でもあるあるです)。 Rubyを積極的に使っている現場はそれほど多くありませんが、反対にガッツリ使う制作会社もありますので、所属するプロジェクトに合わせて勉強の優先度を変えてください。

Python(パイソン)の特徴

「Python」も、スマートフォンのアプリやブラウザを利用するソーシャルゲームのサーバーで使われるプログラミング言語です。 Rubyと同様、コンバーターなどのバッチファイルとしても活躍しており、縁の下の力持ち的なポジションでもあります。

Pythonの最大のポイントは「コーディングの規約が厳密に決められている」ことです。これにより、プログラマーの癖が出にくいソース(コード)が完成します。結果、誰が見てもわかりやすい=可読性の高いことは大きなメリットです。 シンプルな言語でコードの記述を短くすることができ、複数のコードをひとまとめにして使いやすくした「フレームワーク」「ライブラリ」が豊富で汎用性が高いことから、多くのエンジニアに支持され、さまざまな分野で利用されています。
近年はAI(人工知能)の開発で特に注目を浴びており、AIを搭載したソフトウェア、 機械学習を用いたソフトウェアの開発で活用されています。非常に人気の高いプログラミング言語ですが、ゲーム開発の現場では上述した言語ほどは採用されていない言語です。

ゲームプログラマーが押さえておきたいプログラミング言語10選

これからのゲームプログラマーが学ぶべきプログラミング言語

今回は、ゲームの開発現場でよく使われている、10のプログラミング言語をご紹介しました。 この中から、現在の所属会社やプロジェクトに合ったものを学んでいくのがプログラマーとしてのスタートラインであり、最低限やらなければならないことでしょう。
そして、その先にあるのは、特定のプログラミング言語を極めるエキスパート、あるいは幅広く使いこなすマルチプログラマーへの道です。 どちらも、ゲームプログラマー、サーバーエンジニアとして高い需要がありますので、ご自身のキャリアプランに合った選択をしてください。

ただ、プログラミング言語の世界は移り変わりも早いので、より優れたものが生まれると一気に開発環境が変わってしまうこともありえます。 また、一度下火になったとしても、新しいバージョンや追加機能によって主流に戻るケースも考えられます。 エキスパートを目指す場合であっても、ほかのプログラミング言語の基本部分は押さえておく必要はあるでしょう。
マルチな路線で行く場合も、各言語の最新情報、プラットフォーマーの採用動向などは、常に追う姿勢を持ち続けることが大切です。

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