メディアが紙一色だった時代は、ポートフォリオも印刷した紙を束ねて送ったり、ファイリングして面接時に持っていったりするものでした。しかし、現在はデータ、サイトへのリンク、紙への印刷というような指定がある場合もあれば、提出する形式を問わない場合もあるなど、企業によって対応が異なります。正解がわかりにくいだけに、どうすればいいのか迷う人も多いでしょう。
そこで今回は、ポートフォリオの形式や仕様に関する、よくある10個の疑問にQ&A形式でお答えします。いずれも「これが正解!」という答えは用意されていませんが、考え方や判断基準を、ご自身がポートフォリオを提出する際の参考にしてみてください。
ポートフォリオサイトを作成できるサービスも数多くある今、ポートフォリオを作るならサイトと紙とどちらがいいのでしょうか。おすすめは「どちらも作成する」です。
まず、一般公開用にサイトを作成しましょう。これは、採用担当者だけでなく、現場の責任者など、採用や面接に関わる人が事前に確認するためのポートフォリオになります。その上で、印刷できるフォーマットでもポートフォリオを作成しましょう。このように二段構えにすることで、データ送付で構わない企業と、印刷したものが必要な企業、双方のニーズに応えられるのです。
ポートフォリオサイトを作成し、データや紙で提出する場合、サイトを印刷して提出する応募者もいますが、コンプライアンスや守秘義務の関係で、一般公開するサイトには企業名やプロジェクト名、チーム編成などの情報を掲載すべきではありません。ポートフォリオサイトには自主制作作品の画像やコメントを中心にして、紙のポートフォリオには業務上担当した作品と付随する情報をしっかりと掲載する形がいいでしょう。
ポートフォリオに掲載する作品数、ページ数には特に決まりはありません。採用担当者は、日々多くの選考書類を見ていますので、多すぎると確認する負担が大きくなりますし、少なすぎると選考のための情報が足りないため正しい評価(判断)ができません。
一般的な作品数は10~20作品で、1ページあたり1~2作品を紹介します。ページ数は表紙、目次、プロフィール、作品紹介を合わせて12~30ページ程度です。これを基準に作成するといいでしょう。
ポートフォリオを、データで提出するよう求められることも多くなってきました。会社の指定がある場合はそれに従うとして、指定がない場合はどうすればいいのでしょうか?
考え方としては、ゲームや映像の現場だけではなく、人事や経営層など、多くの人にチェックされる可能性がありますので、なるべくどんな環境でも開け、レイアウトも崩れにくい形式がいいでしょう。そうなると、書類形式はPDFが最適です。また、ビューワーが充実しているワード形式(doc、docx)やパワーポイント形式(ppt、pptx)でも構いませんが、画像をメール添付で送付する場合には容量(サイズ)に注意が必要です。なお、Illustrator形式(ai、eps)やPhotoshop形式(psd)、Maya形式(ma、mb)は汎用性がありませんので、そのまま送ることは避けましょう。
作品数が多い場合、作品データをJPEGなどの画像形式にして1作品1画像(1ファイル)でたくさん送る方もいますが、企業側の指定でなければあまりおすすめしません。PDFなどで1ファイルにまとめることで、担当者が1つずつファイルを開く手間を避けることができます。
ちなみに、映像業界などで動画やデモリールを提出する場合は、一番多くの人が開けるであろうMPEG(mp4)で提出するか、オンライン上のストリーミングサービスで限定公開しURLを共有する形でもいいでしょう。
いずれの形式でも、注意すべきはファイル名です。特に、Macで保存した日本語のファイル名はWindowsでは文字化けし、判別できなくなってしまいますから、必ず半角英数字にしましょう。
ポートフォリオのデータは、あまりに重いと古いパソコンでは開くのに時間がかかったり、社内でデータのやりとりに手間がかかったりして敬遠されます。メール添付で送りやすい2MB未満に収めるようにしましょう。それ以上重くなる場合は、PDFなら軽くする処理を行うか、ZIPなどで圧縮した上で提出すると良いでしょう。
なお、2MB以上になる場合は、クラウドのストレージサービスなどを利用するといいでしょう。保管期間に注意して(少なくても1週間は保管されているように)、ファイル名に自分の名前を入れて識別しやすくした上で、ダウンロードや開封時、いずれかのパスワード設定も忘れずに行います。どの企業も、セキュリティにはとてもきびしいので、ポートフォリオを送る際はその点も意識してください。
ポートフォリオを紙で提出する場合、サイズはどうしたらいいのでしょうか?基本的には、最も一般的でファイリングもしやすいA4サイズが、企業側の取扱いも楽なので歓迎されます。ただし、大きな制作物の画像で細部まで見せたい作品が多い場合などは、A3でも構いません。もしくは、基本はA4で、A3を折りたたんで混在させる形や、A4にして細部は全体とは別に拡大画像を載せる形も考えられます。
縦横の向きは、ビジネス文書は縦が一般的ですが、ポートフォリオの場合はどちらでも問題ありません。掲載する作品に合った向きにするのがいいでしょう。キャラクターデザイナーで全身画像が多い場合は縦、ゲームデザイナーで背景デザインが多い場合は横が合っています。
デザイナーであれば、ポートフォリオのデザインにも凝りたくなりますが、主役はプロフィールであり、作品です。主役が引き立つような、シンプルで見やすく、読みやすいデザインにしましょう。
「面接当日にポートフォリオを持ってきて説明してほしい」という企業も多くなっています。こうした企業が増えた理由は、作品の説明を受けながら実務的な内容を質問することができ、人柄やコミュニケーション能力などもわかるからです。
ちなみに、面接に持っていく形式は、事前に企業に確認し特に指定がなければ、以下の3種類のどれでも構いません。
自分がプレゼンテーションしやすい形で構いません。3種類のうちどれが自分に合っているのか、事前にプレゼンの練習をしておくと本番で余裕が持てるでしょう。
ポートフォリオのプレゼンテーションと質問で難しいのは、時間配分です。短い会社だと数分、長い会社だと30分以上行われる場合があります。5分と30分では説明できる内容に大きな違いがありますが、事前に面接にかかる時間は教えてもらえないことがほとんどです。
どのような時間でも対応できるように、短い5分間バージョンと長い30分間バージョンの2種類を用意して、練習しておくことをおすすめします。就職や転職活動が1社で終わる応募者は少ないと思いますので、一度行った練習は、その後の企業での面接でも必ず役立ちます。
そして、できれば面接以前に、難しければ面接当日に「ポートフォリオを使ったプレゼンテーションは何分程度いただけるのでしょうか?」と質問をして、どちらでプレゼンテーションするか判断するといいでしょう。
著作権、知的財産権、守秘義務など、仕事には権利と義務がついて回ります。ポートフォリオでも、これらは大いに関係しています。これらを遵守していないことを意識している場合、「見つかったら訴えられてしまうのでは?」と思う方もいるでしょう。
日本全体でコンプライアンス(法令遵守)の重要性が高まっている今、応募者のコンプライアンス意識も採用選考のチェックポイントになっています。しかし、取扱いに注意して、NG項目にふれないようにしていれば、それほど神経質になる必要はありません。
応募先企業にだけ提出したり持っていったりするクローズドなポートフォリオでは、下記の内容以外であれば、著作権保持企業が知ったとしても問題になることはほぼありません。
ちなみに、上記についても許可を得れば掲載できる場合があります。例えば、「ボツになった案がどうしても気に入っているので、著作権を持つ企業(前職企業や委託元企業、クライアント企業など)に許可を取って掲載している」といった例があります。
クリエイターにとって、ポートフォリオは自分をアピールする作品です。作品の質だけでなく、わかりやすいポートフォリオを作成することが、就職・転職成功の近道になります。この記事を参考に、すばらしいポートフォリオを作ってください。自分のポートフォリオは問題ないか、しっかり自分をアピールできているか、応募先企業に合っているか、など気になる人は、キャリアアドバイザーに相談してみましょう。
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