シリコンスタジオエージェントは、「ゲームクリエイターの転職」「ゲーム制作会社への派遣」だけでなく、異業種からゲーム・映像業界を志す人の転職や、新卒・第二新卒から業界入りを目指す人など、幅広く支援しています。 ゲームクリエイターは人気のある職種ですから、未経験者の転職や新卒からの入社は狭き門となっていますが、新たな才能を求めている企業は数多くあります。
「人と企業をつなぐ役割」を重視するシリコンスタジオエージェントは、誰でもいつでも相談できる態勢を整えています。その中のひとつの施策として、キャリアアドバイザーが、
学生向けにゲーム業界の現場やゲームクリエイターの業務内容、求められる資質などを解説する説明会を行ってきました。
今回はその中から、2021年春に実施された、大学生向けの講義内容をご紹介します。
2019年末からのコロナ禍により、世界のゲームを取り巻く環境は大きく変化しました。日本でも、リモートワークやオンライン授業の拡大に伴い「巣ごもり(お家時間)」が拡大。 テレビの視聴や動画再生時間の増加とともに、ゲームに費やす時間も大幅に伸びました。中でも伸び率が高かったのが、「家庭用ゲーム機」で遊ぶ時間で、実際、一部のハードが品薄になったほどです(現在もその状況は続いています)。
世界のゲーム市場も、2018年は13兆1,774億円でしたが、2019年は15兆6,898億円へと急拡大(数値はいずれも自社調べ)。 自宅から出ることなく楽しめるものとして、eスポーツとして、あるいは実況配信として、ゲームはコロナ禍で最も注目を浴びるエンターテインメントとなっています。
多くのゲーム制作会社が業績を伸ばし、採用活動を強化していることは、ゲームクリエイターを目指す人にとって頼もしい状況といえるでしょう。
市況に続き、日本のゲーム業界の構造について解説が行われます。まず紹介されたのは、ゲームの種類です。
中でも、特に市場が大きく、ゲームクリエイターの需要も多いのが、「家庭用ゲーム」と「モバイルゲーム」です。
家庭用ゲームにはPlayStation 5やNintendo Switchなどのハードがあり、それらに対応するゲーム(ソフト)をデベロッパーが制作し、パブリッシャーが販売します。
一方、モバイルゲームでハードにあたるのはスマートフォンで、Apple社のiPhoneとGoogle社のAndroid端末が大多数を占めています。
家庭用ゲーム同様、それぞれのスマートフォンに向けてゲームを制作する会社と販売する会社が存在しています。
どちらのゲームも「企画」→「開発」→「販売(配信)」という流れで制作され、これらを一括して行うゲーム制作会社をパブリッシャーといいます。
上場するなど、世間的に知られている大手ゲーム会社がこれに該当します。
デベロッパーは、パブリッシャーから「開発」業務を請け負っているゲーム制作会社のことで、一部の企業を除き、世間的な知名度は高くありません。
デベロッパーは、国内のゲーム制作会社の多くを占めるので、ゲームクリエイターの多くが勤めるのもデベロッパーということになります。
名前が売れていることもあり、ゲーム制作会社への就職希望者はパブリッシャーを志望する人が大半ですが、 特定の企業ではなく、多くの企業やタイトルに関わりたい場合は、デベロッパーがおすすめです。
デベロッパーの名前がわからないときは、「◯◯(自分が好きなタイトル) 開発会社」といったキーワードで検索しましょう。 そして、デベロッパーのウェブサイトを見つけたら、取引先企業ページで関わりのあるパブリッシャーを調べて、「これから携われそうなプロジェクト」を推測し、開発実績ページで「その制作会社が得意とするジャンル」をチェックします。 開発実績の中に、自分が携わりたいAAAタイトルや、好きなシリーズなどの名前が挙がっていれば、就職したときに関われる可能性が高くなります。
実際に就職・転職活動を行った人の中には、大手ゲーム会社を志望したり、特定のタイトルに関わりたいという熱を持っていたりすることが多いそうです。 しかし、ゲームクリエイターの世界は実力主義。大企業は求める条件もきびしく、希望した人が全員合格することはありません。
そこで、シリコンスタジオエージェントでは、希望する大手ゲーム会社だけでなく、その会社と直接取引のあるデベロッパーの求人も併せて紹介するようにしています。 結果、デベロッパーに入社して、大手ゲーム会社の好きなタイトルの開発を担当した例や、デベロッパーでの経験を経て、大手ゲーム会社に転職した例も数多くあります。
実績や実力がものを言うゲームクリエイターの場合、「新卒や未経験でデベロッパーに就職してスキルを磨き、数年後に別のデベロッパーやパブリッシャーに転職をする」というキャリアの積み方は珍しくありません。 スタート地点はどこであっても、しっかりゴールを見据えた就職(転職)活動を行うことが何より大切なのです。
ゲームクリエイター=開発職ですが、それぞれの役割を細分化すると、下記のように分けることができます。
プロデューサー、ディレクター、プロジェクトマネージャーは「コンセプトチーム」です。ゲームのコンセプトを考え、ディレクターを通して「開発チーム」に指示を出します。
開発チームは、役割ごとにチーム分けがなされています。ゲームの開発規模やジャンルによっても異なりますが、「バトル」「イベント」「マップ(レベル)」「仕様設計」「UI」「通信」などに分かれ、 それぞれのチームにリーダー(プランナーが担当することが多い)が立ってチームをまとめ、コンセプトチーム(ディレクター)からの要望を実際のゲームに落とし込んでいきます。
説明会では、多くの職種の中でも特に志望者が多い「プランナー」と「デザイナー」の仕事内容が紹介されました。
プランナーは、ゲームの設計やシナリオなどを担当する職種で(海外や一部の国内ゲーム制作会社ではプランナーのことをゲームデザイナーと呼ぶことがあります)、未経験で就いた場合の想定年収は270万~400万円程。 経験を積んでディレクターなどにステップアップし高い報酬を得ている人もいます。
プランナーの職域は幅広く、ゲームデザインでも「システム」「バトル」「クエスト/イベント」「UI」「AI」と分かれていますし、レベルデザインやシナリオや設定を考えたり、 オンラインゲームやスマートフォンアプリの場合は運営(課金のしくみやプレイヤーの継続施策)に携わったりすることもあります。 すべてを1人で担当するのではなく、前述のチーム分けに合わせて担当分野が決められていることが大半です。
ゲーム制作会社がプランナーに求める能力は大きく分けて「企画力」「設計力」「発注・管理力」の3点です。
企画力は文字どおり、アイディアを出したり発想したりする能力のことで、プロデューサーやディレクターが出したコンセプトに沿って、どう表現すればゲームがおもしろくなるかを考える力のことです。0から1を生み出す、あるいは1を10に伸ばすことが求められます。
設計力は、資料を整えたり仕様書を書いたりする能力のことで、実際に手を動かすプログラマーやデザイナーに適切に指示を出すことが求められます。
自身が考えたアイディアを資料や仕様書に落とし込み、他者に的確に伝えるために欠かせないのが発注・管理力です。口頭や資料をベースに物事を伝えるプレゼン能力がなければ、 ほかのクリエイターが正しくゲームを組み上げることができません。また、プレゼン内容が伝わったことを確かめ、間違っていたときには都度修正を行う管理能力も求められます。
キャリアアドバイザーが考えるプランナーに向いている人は、アイディアを考えることが好きなことはもちろん、
自身の考えをちゃんと相手に伝えることができ、スタッフそれぞれの立場に立って進行管理をしたり、調整能力を備えていたりする人です。
特に、下記の素質がある人は、プランナーを就転職先の候補に入れてみてもいいでしょう。
プランナーは、チームのメンバーに考えたアイディアを伝えるだけでなく、ディレクターとの対話を通じて意図をくむ必要があります。 打ち合わせや相談の機会も多いので、人と人との関係性を築くことも大切です。自身が担当する部分だけでなく、ゲーム開発の全体を理解することも求められます。
なかなか大変な役割(職種)ですが、下記のような訓練(準備)をしておくことで、就ける可能性を高めることができるでしょう。
ゲームエンジンが普及した今、1人でゲームを作ることは難しくありません。UnityやUnreal Engineなどを活用し、小規模でも単純な内容でも構わないので、 企画から完成まで、一通り行ってみることをおすすめします(1人で不安なときはほかの人を誘ってもOK)。ゲームの制作に何が必要なのか、どう組み上げていくのか、 どこで引っかかるのかを体感しておくことは、プランナーにとって重要な経験となります。
また、正しい日本語を使って、プログラマーやデザイナーなどに意図がしっかり伝わる仕様書が書けるようにしておくことも大切です。 仕様書や資料を作る過程で、より深くゲームを理解し、打ち合わせ時にどんなツッコミが来ても対応できる力も身に付けることができます。
プランナーに続き、デザイナーについても仕事内容などが紹介されました。
デザイナーは「ゲームの美術部分」を担当する職種で、アーティストと呼ばれている場合もあります。未経験からの想定年収は300万円前後。 経験を積むことで800万円程まで上がるケースもあり、中には1,000万円を超える収入を得ている人もいます。
デザイナーはプランナー以上に職域が分かれていますが、おもに下記の2つに大別されます。
特に需要が多い3Dデザイナーは、大手ゲーム会社で分業制が進んでいる職種です。初めから担当する領域が決められているため、 背景なら背景、VFX(エフェクト)ならVFXというように、1つのスキルをとことん突き詰めたい人に向いています。
一方、中小のゲーム制作会社では、複数の領域を任されることが多くなります。例えば、モーションの担当になっても、アニメーションやライティングまで行うなど、 幅広く経験することが可能です。得意分野に特化するのではなく、3Dデザインに関する多くのスキルを身に付けたい場合、条件のいいパブリッシャー(大手ゲーム会社)よりも、 中小のゲーム制作会社のほうがおすすめできるケースもあります。
企業の規模にかかわらず3Dデザイナーに求められるのは、「理解力」と「実現力」の2点です。
理解力は、プランナーやチームのメンバーから来た指示や情報を正確にくみ取る能力のこと。与えられる情報は、仕様書や資料のこともあれば、口頭で済まされる場合もあります。 読解力だけではなく、わからない点を質問するコミュニケーション能力も必要です。資料の読み込みや会話を通じて、「何を表現すべきか」を把握することが求められます。
表現力は、デザイナーとしての腕の見せ所です。あらかじめ決められている納期やスペックの中で、最大限のクオリティを出しつつ、完成まで持っていく能力は必須といえます。
クリエイターとしては最高のクオリティを目指すのが当然ですが、ゲーム制作は商売ですので、納期や予算を守らなければなりません。圧倒的なクオリティでもデータが重すぎれば動きが悪くなったり、
ほかの部分を削る必要が発生したりするなど、チーム全体(プロジェクト全体)に影響を及ぼしてしまいます。提示された条件を満たした上で、期待以上のアウトプットを行うことが求められるわけです。
3Dデザイナーは、ツールやソフトウェアを使えることが第一条件です。その上で、作品のクオリティを高めるには、開発ツールや各種ソフトウェアを高いレベルで使いこなす必要があります。
さらに、下記のような素質が求められます。
ツールやソフトウェアは、世界中のゲームクリエイターによって日々更新されています。メーカーによるアップデートも頻繁に行われ、新たな機能が次々と加わりますが、これらを常に追っていくことが大切です。
誰よりも早く新機能を試し、制作に取り入れるかどうかを判断する。慣れた作業内容であっても、より効率のいい方法を探る。こうした好奇心を持ち続けることができなければ、あっという間に後進に追い抜かれてしまいます。
作品づくりにおいては、ディレクターやプランナーの発注を着実にくみ取った上で作業に入る必要があります。わかったフリをして進めることは許されないので、作業前に徹底的に議論を重ねるコミュニケーション能力も必須です。
また、仕上げた作品は、ディレクターやプランナー、ほかのデザイナーからの、きびしい意見にさらされます。多くの修正作業が発生し、時にはゼロからやり直すなど、ものづくりをするクリエイターとしてくやしさを感じることもあるでしょう。それでも、ゲームのために前向きに取り組むことができる姿勢が必要です。
3Dデザイナーを目指すとき、具体的に何をしておくべきかについては、下記の3つが挙げられました。
ディレクターやプランナーの求めることを理解するためには、やはりコミュニケーション能力があることは大前提になります。そして、求められた内容を実現するために必要なのが、デザインの基礎スキルであるデッサン力と表現力です。
実際、多くのゲーム制作会社が「応用的な表現、テクニックは入社後に教えられるが、そもそも基礎がしっかりしていないときびしい」と、キャリアアドバイザーに伝えているほどで、選考に際してデッサンの提出を必須としている企業もあるそうです。
3Dに限らず、デザイナーとしてゲーム制作会社の求人に応募する際に必ず求められるのがポートフォリオです。学力や経歴よりも実力が重視されるため、その出来が選考に大きな影響を及ぼしますが、要点を押さえて作らないとアピールにつながりません。
ポートフォリオには、応募者の実力を見定めるだけでなく、入社後の実作業に耐えられるか(ついてこられるか)を見極める意味合いもあります。そこでチェックされるのが、「デッサン力」「表現の幅」「スピード」の3点です。
デッサン力は、基礎的な能力を見るためのものです。一方、表現の幅は、指示された絵柄に合わせて描く力のこと。ポートフォリオに収録した作品がどれも同じような塗り方をしていたり、テイストが似通ったものばかりだったりすると、表現の幅が狭いと判断されることになります。
そして、納期を守る力があるかを確認するのがスピードです。圧倒的なクオリティの作品がそろっていても、制作期間が長すぎると仕事としては現実性がないと判断されてしまいます。
上記を踏まえた上で、収録する作品には「制作時期」「制作時間」「担当した領域」「使用したツール」「課題と工夫した点」を必ず書くことが大切です。
企業が必ずチェックする要素を押さえた選考を通過しやすいポートフォリオの作り方については、ほかの解説記事も参考にしてください。
最後に解説されたのは、ゲーム制作会社での働き方の形です。現在、多くのゲーム制作会社では、下記の6つの雇用形態があります。
正社員は、最もわかりやすい雇用形態です。ゲーム制作会社と直接雇用契約を結ぶため、長期的に働くことができます。
契約社員は、1年なら1年と、期間を決めて働く雇用形態です。満期が近づくと話し合いが行われ、更新の有無を決めます。
派遣会社の社員となり、ゲーム制作会社に派遣されます。派遣社員は、プロジェクト単位での契約になる場合がほとんどです。
紹介予定派遣とは、入社後の一定期間(最長半年)は派遣社員として、そこで問題がなければ社員として入社する働き方です。
個人事業主(フリーランス)として、プロジェクト単位で業務委託契約をします。一定のスキルがないと、難しい働き方といえるでしょう。
アルバイトとして、時給や日給で働きます。実力が認められれば、ほかの雇用契約にステップアップすることもあります。
どの雇用形態にも一長一短がありますが、安定を求めるなら正社員か契約社員、興味のあるプロジェクトだけに関わっていくなら派遣社員や業務委託、入社のハードルを下げるのであれば紹介予定派遣やアルバイトがおすすめです。
また、最初からプランナーやデザイナーといった専門職ではなく、デバッグやカスタマーサポートのアルバイトとして入社し、その企業のしくみやゲーム制作の流れを学んだ上で、あらためて採用試験を受けるという方法もあります。
ゲーム制作会社への就職を目指す学生や未経験者にとって、ゲーム業界を取り巻く状況や企業の内情を知ることには大きな意味があります。 また、転職を考えている人や、違う職種に挑戦しようと考えている人、雇用形態を変えたいと思っている人にとっても、採用側が考えていることを知っていれば有利に働くでしょう。
ゲーム会社に就職や転職を検討している人は、まずは情報収集をしたり職種によっては作品を制作したり、しっかりと準備をしておくことがあなたの望むキャリア成功の鍵となるでしょう。
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