ゲーム開発最前線 ― 【TGS2018】取材レポート③

【TGS2018】取材レポート③:TGS2018で実感!ゲームは個人の趣味から選手が競い合う競技へ

2018年2月、国内のeスポーツ団体3つが統合して、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が発足。同月に行われたゲームイベント「闘会議2018」で、初めて「ジャパン・eスポーツ・プロライセンス」が発行され、5月にアジア競技大会のデモンストレーション競技に採用されたタイトルの日本代表選手選考会を開催しました。6月に行われた東アジア地域予選を勝ち抜いた3選手が、8月の本大会に出場し、「ウイニングイレブン 2018」では金メダルを獲得するなど、日本のeスポーツ界は一気に動き出した感があります。

TGS2018会期中、さまざまなeスポーツ関連イベントが行われたスペース。JeSUをサポートする企業には、日本を代表する名前がいくつも!一般ブースにも、eスポーツに関わる会社が多数出展。契約しているプロゲーマーの写真は、来場者が足を止めるきっかけに最適でした。

さらに、2019年に開催される「いきいき茨城ゆめ国体」では、「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI」が行われることも発表されました(競技タイトルは「ウイニングイレブン 2019」)。2019年4月から各都道府県の代表を決める予選が順次行われ、10月の本選を迎えるという長めのスケジュール。国体という場を考えると、アジア競技大会以上にeスポーツへの関心が高まりそうです。

また、2024年のパリオリンピックでの正式採用を目指す動きもあります(アジア競技大会では2022年の中国・杭州大会からメダル競技に採用)。オリンピックでメダル競技となれば、今以上に国内外の注目度が高まることは確実です。しかし、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が、一部ゲームが持つ暴力性などを理由に採用しない意向を示すなど、その結論はいまだ出ていません。

eスポーツへの対応はメーカーによって千差万別

2018年9月20日~23日にかけ、幕張メッセで開催された東京ゲームショウ2018(以下、TGS2018)でも、ゲーム大会やJeSUによるアジア競技大会の報告会など、eスポーツ関連のイベントやタイトルおよび関連商品の出展が多くありました。

JeSUがプロライセンスの発行を行っている認定タイトルは8つありますが(2018年10月現在) 、このうちのいくつかはTGS2018にも出展され、実際に遊んだり、大会を観戦したりすることができました。eスポーツで先行する北米や欧州、アジア各国で人気=プレイヤー人口が多いのはFPS(一人称視点のシューティングゲーム)やTPS(キャラクターの背後の視点で操作するシューティングゲーム)、RTS(リアルタイムで刻々と戦況が変わるシミュレーションゲーム)、カードゲームです。
しかし、JeSUの8タイトルに、それらのジャンルは2タイトルのみ。ほかは、格闘ゲームが2タイトル、スポーツゲームが1タイトル、パズルゲームが1タイトル、そしてスマホゲームが2タイトルとバラエティ豊か。認定タイトルは今後も増えたり、入れ替わったりする可能性がありますが、世界で人気のジャンルに寄せるのか、独自の路線を進むのか…。まだ立ち上がったばかりということもあって、目指す方向は不確定ですが、今後の動向には注視すべきでしょう。

実際、TGS2018の各社のブースでも、のぼりやポスターなどで「eスポーツに対応するタイトル」であることを打ち出した展示内容にしたり、来場者が参加できる大会を開いたりするなど、eスポーツを意識したところもあれば、競技性の高いタイトルであってもうたわないところもあり、その対応はさまざまです。

JeSUの認定タイトルにも入っている「ぷよぷよ」。落ち物パズルというジャンルがeスポーツとして認められているのは珍しく、日本発のムーブメントとして世界中のプレイヤーに広がるか注目されます。

勢いを感じられた関連デバイスメーカー

国内のeスポーツは家庭用ゲーム機やスマホでプレイするタイトルが目立ちますが、世界的にはPCでプレイするゲームが主流です。特にFPSやTPS、RTSの人気タイトルは、そのほとんどがPC版ということもあり、プレイ環境は人によって大きく異なります。

家庭用ゲーム機の場合、プレイに大きく影響するコントローラーは、ハードメーカーの公式パッドであることがほとんどです。もちろん、ゲーム機本体の性能は全員同じになります。しかし、PCの場合、PC本体の性能はもちろん、マウスやキーボードといった入力デバイス、ヘッドセットやモニター、椅子などはプレイヤーごとに違う物を使っています(同じデバイスでそろえているプロチームなどは例外です)。少しでも高性能なPC、より操作しやすいマウスやキーボード、小さい音も逃さないヘッドセット、反応速度のいいモニター、そして長時間のプレイでも疲れない椅子…。高みを目指すプレイヤーにとって、デバイスへのこだわりは当然のことです。

そうしたeスポーツのプレイヤーが増えていることを端的に表していたのが、TGS2018に出展していたデバイスメーカーの充実です。PC本体のメーカーはもちろん、マウスやヘッドセットなどの周辺機器、ゲーミングチェアが多数展示され、実際にさわれたり、座ったりすることができました。

TGS2018に出展していたeスポーツのデバイスメーカー:デバイスひとつではなく、PC本体、モニター、キーボード、マウス、ヘッドセット、チェアまで一体として提案するブース。
TGS2018に出展していたeスポーツのデバイスメーカー:個々のデバイスにスポットをあてて展示するブース。対照的に思えるが、どちらもeスポーツの大切な要素である「魅せる」ことを重視した展開をしています。

世界には1億人以上のeスポーツプレイヤー がいるといわれていますが、日本人のプロゲーマーはまだほんの一握り。とはいえ、テレビや雑誌、インターネット上のニュースなどで取り上げられる機会も増え、認知度も高まっていることから、今後は「プロゲーマーを目指す」人が増加することは間違いありません。そして、その道で「食べていく」ためには、プレイヤー人口が多い=賞金規模が大きく、大会の数も多いPCの人気タイトルで勝負をするのが(今のところ)一番でしょう。つまり、PCやデバイスに注力(投資)する人は、eスポーツの盛り上がりと比例するように増えることになります。TGS2018に、これらのメーカーが多数出展し、来場者の注目を集めていたことは、これから大きく発展する(国内の)eスポーツと無縁ではありません。

eスポーツ発展の鍵を握るのはJeSU

1990年代中頃、日本にもeスポーツの文化が芽生えていました。今なお世界的な人気タイトルである「Counter-Strike」のプロチームが結成されたり、大会でMCを務める「ゲーム実況」も生まれたり、個人で海外のゲーム大会に遠征する選手が現れたりするなど、ゲームファンが注目するトピックはいくつもあったのです。

しかし、その大半は一時の嵐のようなもので、成績が振るわなかったり、スポンサーが撤退したりするなどして、表舞台から去ってしまいます。それでも、eスポーツに可能性を見いだした人は粘り強く大会に参加したり、主催したり、イベントに登壇するなど活動を継続してきました。一部のゲームメディアもそれを支える報道を行うなど、大切に育ててきた経緯があります。

そうした流れを、もっと大きく、国や行政を巻き込んで推進していこうとする団体がJeSUです。核となった3団体(日本eスポーツ協会、e-sports促進機構、日本eスポーツ連盟)だけでなく、今なお乱立状態になっている国内のeスポーツ界隈をまとめ、より多くのプレイヤーとスポンサーを獲得し、野球やサッカーのような競技として一般に認められるようになるには、その是非はともかく、強力な推進機関が必要でしょう。

JeSUの紹介をする小さなブースには、団体のヒストリーなどを紹介したパネルのほか、ユニフォームとメダルも展示されていました。

TGS2018では、そのJeSUによるアジア競技大会の結果報告も行われました。日本代表として活躍した3選手も登壇し、大会の雰囲気やプレイ内容などを選手個人の言葉で伝え、来場者(ビジネスデイの9月20日に行われたので関係者がほとんど)の大きな拍手を受けています。その様子は、その日の夜のニュース番組や翌朝の情報番組などで報道され、ゲームやeスポーツとは無縁の人にも広く伝わったはずです。また、アジア競技大会に参加した選手に密着したドキュメンタリー番組も後日放送されるなど、eスポーツの認知度は高まりつつあります。

JeSUアジア大会で日本代表として戦った3選手。金メダルを獲得した「ウイニングイレブン」の2人(杉村選手・相原選手)、惜しくも敗退したもののテレビ番組に密着されるなど注目度が高かった「ハースストーン」の赤坂選手から、インドネシアでの熱戦の様子が語られました。

なお、世界的に見るとeスポーツとして認められたタイトルは、長きにわたって大会に採用され続ける傾向があります。つまり、長く会社に貢献する可能性を秘めているわけですから、ゲームを制作する側(会社やクリエイター)も、eスポーツというキーワードを無視することはできなくなるでしょう。海外を意識したタイトルはもちろん、国内向けのタイトルでも(競技性のあるものは特に)JeSUの認定を目指したり、プロゲーマーを生む土壌を作る施策を行ったり、あるいはプレイヤーのコミュニティーを醸成するなど、これまでのゲーム制作とは違うアプローチが必要になるかもしれません。

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