VRとは ― ゲーム業界用語解説

医療やビジネス、教育の現場のほか、テレビや映画、アトラクション、ゲームが、「VR」によって大きく変わろうとしています。人々の生活や娯楽を一変させる可能性を秘めたVRの、歴史と今を解説します。

VRとは ― ゲーム業界用語解説

VRの意味

「VR」は「Virtual Reality」を略した言葉で、日本語では「仮想現実」と訳されることが多いようです。人間の視覚や聴覚といった感覚器官に働きかけることで、現実ではないのに「あたかも現実である」と感じさせる環境を作り出す技術を指します。ちなみに海外では、Virtualを仮想ではなく「ほとんど実質的なもの」としていて、日本とは捉え方に違いがあるようです。 現在のVRにおいて最も有名なのは、被ることで視界を覆い、そこに投影する映像や音声によって3D空間に没入させる、「ヘッドマウントディスプレイ(HMD)」というタイプの商品群です。家庭用ゲーム機でVRを実現する「PlayStation VR」や、ケーブルなどをつながずに利用できるスタンドアローン型の「Oculus Go」などが世界的にヒットしているほか、スマホをセットすることでVR世界を楽しめる簡易型まで、多くの商品がここ数年の市場を賑わせてきました。ほかにも、手袋を装着してCGに触ることで、反力を知覚できる「データグローブ」も、福祉分野などで実用化が進んでいます。

VRの歴史

VR界の主流となっている「PlayStation VR」と「Oculus Rift」(「Oculus Go」の有線タイプ)、「HTC VIVE」が登場したのが2016年でしたから、この年を「VR元年」と呼ぶこともありますが、VRそのものの歴史はもっと古いものです。

今やVRの代名詞ともいえるHMDが初めて開発されたのは1968年。「コンピュータグラフィックス(CG)の父」と呼ばれるアイバン・サザランド(Ivan Sutherland)による「The Sword of Damocles」でした。その後、1989年にVRがITの世界に持ちこまれ、1992年にはVRを題材とした映画「バーチャル・ウォーズ(原題:The Lawnmower Man)」が制作されたほか、ファミコン用のグローブ型コントローラ「パワーグローブ」などが登場したことで、VRは徐々に一般化。これらを主導したアメリカのコンピュータ科学者、ジャロン・ラニアー(Jaron Lanier)は「VRの父」と呼ばれています。

日本では、1980年に舘暲(現:東京大学名誉教授)が「テレイグジスタンス(遠隔存在)」を提唱。これは、人間がその場にいなくても実質的に存在して自在に行動するという概念および、それを実現する技術体系のことで、現在のVRが目指す方向と重なるものでした。さらに、1990年には松下電工(現在のパナソニック)がVRを利用してキッチンをデザインするしくみを開発して大きな話題になるなど、産業界にも広がっていきます。一方、エンターテインメントの世界でも、1996年にホリプロがバーチャルアイドルの伊達杏子(DK-96)をデビューさせるなど、仮想現実が少しずつ浸透。同1996年には、日本バーチャルリアリティ学会も設立され、論文誌の発行や「VR技術者認定試験」を実施するなど、普及に力を入れてきました。

広がりを見せるVRの世界

2016年以降、日本ではさまざまな形でVRが利用されるようになっています。

例えば医療分野では、医師がVRを使って手術のシミュレーションを行っているほか、四肢を失った人の幻肢痛や注射の痛みを減じる取組みも始まりました。また、統合失調症や認知症をVRで体験する試みも行われています。

また、従来は現地に出向く必要があった住宅の内見を、VRで済ますことができるシステムも開発されています。内装や家具も、実際に部屋にいるかのように選択&体験できるしくみが完成しているので、サンプルを見比べたりショールームに赴いたりしなくても選べるようになりました。

一般の利用が進んでいるのは、やはりエンタメ分野でしょう。NHKでは、ニュースやスポーツなどの番組を、まるで現地にいるかのように自由な視点で鑑賞できる「NHK VR」のサービスを開始。映画館でもHMDを利用者に貸し出し、迫力ある映像を楽しめる「VR THEATER」が店舗数を増やしています。また、VRゲームを集めたテーマパーク「VR PARK TOKYO」のような専門施設のほか、VRゲームを体験できるゲームセンターやショッピングモールも増えています。

さらに、気軽にバーチャルルームを開設してイベントやミーティングを行うしくみのほか、ミュージカルとVRを組み合わせた公演というような、新しいサービスやエンターテインメントも生まれています。架空のキャラクターがインターネットやテレビ番組でMCなどを務めるVTuber(バーチャルYouTuber)は、伊達杏子や初音ミクの流れを組むバーチャルアイドルともいえるでしょう。

家庭用ゲームやPCゲーム、スマホアプリも、VRに対応しているものが増えています。中でも、PlayStation VRは、2019年3月3日時点で累計販売台数が420万台を突破。対応ソフトは340本、累計販売数は2,190万本(2018年8月現在)を超えるなど、これからのゲーム開発において無視できない状況といえるでしょう。

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