ハードメーカー、大手ソフトメーカーが一斉に新作を発表する場として定着するE3。ゲーム業界で働くすべての人が必見のイベントとして知られる、世界最大のゲーム見本市の歴史を振り返りました。
E3は、Electronic Entertainment Expoの略称で、アメリカのロサンゼルスで開催される世界最大のコンピューターゲームおよび関連製品やサービスなどの見本市です。初めて開かれた1995年以降、毎年5~6月頃に開かれています。前身となったのは、やはりアメリカのシカゴで開かれている家電の見本市・Consumer Electronics Show(CES)で、1994年まではCES会場でゲーム関連の展示が行われていました。しかし、ゲーム市場の拡大に伴い、ゲームに特化した(ゲームだけの)見本市を求める声が大きくなったことから、アメリカの業界団体Entertainment Software Association(ESA)が、E3の開催に踏み切ったのです。
こうした経緯もあって、メディアと流通関係者に向けた、いわば業界人向けのイベントでしたが、年々増加する来場者の問題などから2007年と2008年は名称を「E3 Media and Business Summit」に変更。出展者と招待客の数をしぼって開催しました。しかし、ユーザーや業界からの注目度の減少が顕著だったことから、2009年から元の名称と規模に戻しています。ちなみに、2020年は6月9〜11日にアメリカ・ロサンゼルスで開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け開催中止になりました。2021年は現地時間の6月12~15日にオンラインポータルとアプリで開催されました。また、YoutubeチャンネルやTwitch等でもブロードキャスト配信されました。2022年はオンライン・オフラインともに開催中止が発表されました。
E3が始まった1995年は、日本でいう「次世代ゲーム機戦争」の開戦前夜。セガが、プレスカンファレンスの場で「セガサターン」の詳細を発表。北米での販売価格を399ドルとしました。一方、ゲーム機への参入を明らかにしていたソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE。現在のSIE)は、その最初のハードである「プレイステーション」を299ドルと、セガサターンより100ドルも安く売り出すことを明言。圧倒的優勢だった任天堂のスーパーファミコンの性能を大きく上回る新ハードの情報は、ユーザーに熱狂的に受け入れられました。
E3のプレスカンファレンスで大きな発表を行うという流れは、このときの2社によって形づくられたといっても過言ではありません。なお、以降のE3で発表されたおもなハードやタイトルは以下のとおりです。
開催年 | メーカー | 発表された内容 |
---|---|---|
1996 | セガ | セガサターンを199ドルに値下げ |
1996 | ソニー(SCE) | プレイステーションを199ドルに値下げ |
1996 | 任天堂 | ニンテンドー64をプレイアブル出展 |
1997 | コナミ | 「メタルギアソリッド」を映像出展 |
1997 | スクウェア | 「ファイナルファンタジーVII」をプレイアブル出展 |
1998 | セガ | ドリームキャストを発表 |
1998 | 任天堂 | 「ゼルダの伝説 時のオカリナ」の映像を公開 |
1999 | 任天堂 | 次世代機・ドルフィン(ゲームキューブ)の開発を公表 |
2000 | コナミ | 「メタルギアソリッド2」を映像出展 |
2001 | Microsoft | Xboxでゲーム機市場に参戦 |
2002 | Activision | 「Doom 3」を発表 |
2003 | Valve Software | 「ハーフライフ 2」を発表 |
2004 | ソニー(SCE) | プレイステーション・ポータブルを発表 |
2004 | 任天堂 | ニンテンドーDSのプロトタイプを公開 |
2005 | ソニー(SCE) | プレイステーション3を発表 |
2005 | 任天堂 | 次世代機・レボリューション(Wii)の開発を公表 |
2005 | Microsoft | Xbox 360を発表 |
2006 | 任天堂 | Wiiを正式に発表 |
2007 | ― | 特に大きな発表はなし |
2008 | ― | 特に大きな発表はなし |
2009 | ソニー(SCE) | PlayStation Moveを発表 |
2009 | Microsoft | Project Natal(Kinect)を発表 |
2010 | ― | 特に大きな発表はなし |
2011 | ソニー(SCE) | PlayStation Vitaを発表 |
2011 | 任天堂 | Wii Uを発表 |
2012 | ― | 特に大きな発表はなし |
2013 | スクウェア・エニックス | 「ファイナルファンタジーXV」を発表 |
2014 | ― | 特に大きな発表はなし |
2015 | スクウェア・エニックス | 「ファイナルファンタジーVII」のリメイクを行うことを発表 |
2015 | ソニー(SCE) | 「人喰いの大鷲トリコ」を発表 |
2016 | カプコン | 「バイオハザード7 レジデント イービル」を発表 |
2016 | ソニー(SCE) | PlayStation VRの発売日、価格を発表 |
2016 | 任天堂 | 「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」を発表 |
2016 | Microsoft | Xbox One Sを発表 |
2017 | Microsoft | Xbox One Xを発表 |
2018 | Electronic Arts | 「バトルフィールド5」を発表 |
2018 | カプコン | 「デビル メイ クライ5」を発表 |
2018 | スクウェア・エニックス | 「キングダム ハーツIII」の映像を公開 |
2019 | ベセスダ・ソフトワークス | 三上真司氏率いるTango Gameworksの新作「Ghostwire: Tokyo」を発表 |
2021 | 任天堂 | 「メトロイド ドレッド」を発表 |
一時期、迷走を見せたE3ですが、2009年以降はしっかり立て直し、世界のゲーム業界・市場の行方を占うイベントとしての地位は、しばらく揺るぎそうにありません。プレスカンファレンスを行うメーカーも、当初はハードメーカーが中心でしたが、現在は大手ソフトメーカーによるものも増えています。
また、日本で開催されている東京ゲームショウにはめったに出展しない任天堂(近年は業界関係者向けの商談スペースのみ出展)も、会期に合わせて、ネットで(全世界に向けて代表取締役らが新作発表を行う)ニンテンドーダイレクトを放送(2021年は6月16日[水]午前1時(6月15日[火]25時)より「Nintendo Direct | E3 2021」を放送)するなど、世界市場で戦うメーカーにとって欠かせないものとなっています。
ゲームに携わるすべての人にとって見逃せないイベントとして、今後も(ニュースサイトなどを)しっかりチェックすることをおすすめします。
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