バンダイナムコオンライン 新規プロジェクトプロデューサーに聞く

バンダイナムコオンラインは、会社設立時よりPCゲームを制作しナレッジを積んできました。現在では、コンシューマーやスマホといった新たなジャンルへの展開に向けて挑戦をしています。さまざまなプロジェクトが動く中、新規シューター開発チームが、世界と戦う新たなメンバーを募集しています。
今回は、各プロジェクトを統括する2人のプロデューサーに、求める人物像や開発現場の様子、今後の目標などについて聞きました。

写真:株式会社バンダイナムコオンライン 奥翔吾さん
――まずはお2人の現在のポジションと、経歴を教えてください。
奥
現在のプロジェクトではチーフプロデューサーとディレクターを担当しておりますが、自分でもUnreal Engine4を使って手を動かしています。以前は、コンシューマーの開発会社で4年程プランナーやディレクターを経験しました。バンダイナムコオンラインに転職した理由は、「オンラインゲームを作りたかった」からです。
中山
プロデューサーとして人・お金・モノの管理に加え、マネージャーとして労務管理もしています。職歴ですが、新卒で通信系の会社にプログラマーとして入りました。その後、ウェブのディレクターをしていたときに、あるゲーム会社にお声掛けいただいてスマホゲームを担当しました。それから、バンダイナムコオンラインにスマホゲームの開発をするために転職して、現在のプロジェクトに携わっています。
――転職を検討する中で、最終的にバンダイナムコオンラインを選んだ理由は何ですか?

写真:株式会社バンダイナムコオンライン 中山哲郎さん
奥
「オンラインゲームに特化している」ことが一番大きな理由です。個人的に好きだった「機動戦士ガンダムオンライン」を作っていることも影響しています。決め手となったのは、社長以下、役員も含め「とにかくゲームが好きな社風」であると感じたことです。
私は元々、PCゲーマーなのですが、転職を考えた7年程前は(コンシューマーで遊んでいる人が多かったこともあり)あまり居場所がありませんでした。しかし、この会社ではPCゲーマーの共通言語で会話ができたことにとても惹かれました。
中山
前職のときから「スマホタイトルで、日本市場だけで戦うことはきびしくなるだろう」と予測もしていたため、「PCとコンシューマーとスマホで連動したゲームを作る」「世界で戦えるタイトルを作る」環境を求めていました。これらを実現できる可能性がある会社であったということです。
PCは一番リッチなゲームを制作できますが、(当時の日本には)作っている会社が少なかった。PCで制作したゲームをコンシューマーやスマホに持って行って、世界で勝負したいと思ったことが転職を決めた大きな理由です。
――バンダイナムコオンラインに入社後、関わったタイトルとお仕事の内容を教えてください。
奥
「ガンダムジオラマフロント」(※1)というブラウザゲームの開発プランナーと運営プランナーを担当しました。それから、残念ながらリリースに至らなかったのですが対戦もののゲームのディレクションを担当し、スマホタイトルのプロデューサーを務めてから、現在のプロジェクトに入っています。
※1 2015年リリース。その後「2nd」へのタイトル変更を経て、現在は「ガンダムジオラマフロント 3rd」としてサービス継続中。
中山
スマホゲームを作るということで入社した経緯もあり、初めは「ザクセスヘブン」(※2)と「戦国大河」(※3)のアシスタントプロデューサーやプロデューサーを担当しました。ほかに、リリースはされていない研究開発タイトル(全世界向け)を2~3本制作しています。また、マネージャーとして運営中のタイトルの管理も行ってきました。
※2 2015年にスマートフォン用ゲームとブラウザゲームが並行リリースされた。現在はどちらもサービス終了。
※3 2018年にサービスインし、現在は開発元の株式会社Aimingが運営しているスマートフォン用シミュレーションゲーム。
――研究開発の成果は、実際にリリースされたタイトルに活かされているのでしょうか?
中山
私が作った企画は、いずれも「全世界向け」を前提としていたので、制作会社にはゲームエンジンで基礎研究・開発を進めつつ、各地域の文化のナレッジ(知識)を積み重ねていきました。関わっていただいた制作会社とは現在も良好な関係を続けていますし、海外のナレッジもかなり積むことができました。法律的にも、宗教的にもクリアしないといけないハードルも多くありましたね。
ユーザーの声がダイレクトに届くオンラインゲーム
――これまでに携わったタイトルの中で、特に印象に残っているエピソードを教えてください。
奥
「ガンダムジオラマフロント」は、お客様により一層楽しんでもらうために施策を考え改修を任されたのですが、ゲームバランスを崩すような要素を入れるとゲーム自体がつまらなくなってしまいます。そのバランスを調整しつつ、ゲームを始めたばかりの人も、長く遊んでいただける人にも楽しんでもらえるような仕組みにしました。結果、お客様には楽しんでもらい、ビジネス的にも成り立たせることができたことは良かったです。さらに、個人的にうれしかったのは、(それを作る過程で)日本とアメリカで特許を取得できたことですね。
オンラインゲームはアップデートをするとゲームがガラッと変わることがありますが、その変化に対して、SNSや実況動画などで「お客様の声に直にふれられる」のは大きいです。ビジネス面においても、この月は売上が高かった・低かったという部分で、目に見えるフィードバックが受けられます。
まさに、「オンラインのサービスは生きもの」であると感じられることは、おもしろくもあり、やりがいのある部分でもあります。
――日頃からユーザーの声を見に行くようにしているのでしょうか?
奥
そうですね。夜中に目が覚めたときは、だいたい自分が作ったゲームの実況動画を見ています。
中山
私がよく覚えているのは「戦国大河」を運営しているときのことです。私も一人のプレイヤーとして遊んでいました。あるとき、同盟の盟主から「戦争を始めます。1時までには攻め落としましょう」というメッセージと、「土地を取って領土を広げて」というような役割が与えられていきます。勝利できたら「ありがとうございました」「皆さんのおかげで勝てました」というメッセージが届きます。非常に楽しい経験でした。
掲示板や実況動画にも目を通しますが、実際にプレイすることで「お客様がどのようなコミュニケーションを取りながらプレイしているのか?」を体感することができます。
プレイする事でしか得られない日々のお客様の声にも目を通すようにしていますね。

――ユーザーが、ゲームの世界を作り上げていく感覚でしょうか?
中山
はい。社内テストやβテストも実施しましたが、サービスインをして実際にお客様が参加されると、ゲームというものは大きく変わります。「この人はいつ寝ているのだろう?」という人が盟主になって、「今シーズンは1位を取りましょう!」とメッセージを送ってくる。他同盟とランキングで競り合うと、より上位に行くためのアイディアを求められるのでみんなで考える。こうした体験を通じて、自分が作ったゲームではありますが「ゲームが洗練されていく」と感じます。オンラインならではだと思いますね。
――開発者が、同じゲームの世界にいると知ったら驚きますね!
中山
弊社には「自分たちのゲームをしっかりプレイする」文化があります。そのときも、プロジェクトメンバーは全員プレイしていました。やはり自分が作ったゲームをしっかりプレイしないとそのゲームの運営はできないと思いますね。
マルチプラットフォームで世界市場に問うタイトルを作る
――現在お二人が開発に関わっているプロジェクトについて教えてください。
奥
コンシューマーとスマホ向けの対戦シューターを開発中です。セルルック調(※4)のものになっていて、ワールドワイドに展開していきます。スマホ市場においてもシューターというジャンルが世界でシェアを広げている現状がありますが、その中にあって「日本発の、バンダイナムコオンラインにしか作れない」作品として勝負していきたい。数あるシューターの中で「オンリーワンのポジションを取る」ことが、プロジェクトの目標です。
※4 アニメーションのセル画のような表現。
中山
私の関わっているプロジェクトは、PCとコンシューマーに対応する大規模対戦アクションシューターゲームです。
「世界を見渡しても実現できていない体験を生み出すゲーム」を目指しており、ビジュアル表現も「どこにもない新しい魅せ方」にチャレンジしています。
欲しいのはゲームが好きで、プロジェクトの核となる人物
――これからプロジェクトに参加する人は、どのような役割を担うことになりますか?
奥
まだ始まったばかりのプロジェクトですので、全職種で「プロジェクトの中核メンバーとして基礎から作ってもらう」ことになります。アイディア出しなども含め、積極的に関わっていただく形です。
中山
私のプロジェクトも、基礎固めの部分に関わる人を求めています。世界観、ゲームデザイン、全てにおいてですね。
――プロジェクトに加わる人に求めたいことはありますか?
奥
どの職種の方も、「ゲームが好き」なことは必須であると考えています。日頃からゲームを遊んでいないとアイディアの引き出しも少ないので。
例えば、プランナーであれば「ゲームを絶対におもしろくしていく」責任感が必要ですが、その「おもしろさの基準」は、ゲームを遊んでいなければわからない。プログラマーの場合、仕様についてプランナーと話し合い「自分なりに解釈をして形にしていく」ことが仕事になります。しかし、プランナーとイメージを共有することができなければ、形にすることはできません。このイメージをするためには、やはりゲームを遊んでいる必要があるわけです。
また、デザイナーには、いかに「ゲーム性を邪魔せずにデザインに落とし込むか」が求められます。ゲームがもっとおもしろくなるデザインを構築する能力が必要になりますが、そもそもゲームを遊んでいなければ何がおもしろいかがわからないので、いいデザインにはなりません。つまり、ゲームが好きでちゃんと遊んでいることが一番大事になります。
中山
プランナーやプログラマーの場合、アクションシューターの知見があるとうれしいですね。デザインやアートに関わる人はプレイ経験がないケースもありますが、競合タイトルの体験会など、ゲームを勉強する機会も設けています。
もう一点挙げるとしたら、「世界志向を持っている」ことです。特に海外製が多いPCゲームの知見を持っていたり、世界標準の仕様を把握されている方だと尚いいですね。
――数多くのゲームを遊んでいることが大切ということでしょうか?
奥
オンラインゲームには、リリースしたときの状態から、半年後、1年後と、ゲームそのものが大きく変わる性質があります。コンシューマーの場合、買ってから30時間でクリアしたらおしまいということもありますが、オンラインゲームは1年、2年…長いと5年と遊び続けていく。その、「遊び続ける」ことも含めて(ユーザーに)体験してほしいわけです。となると、作り手にも「ゲームを好きになって長く遊んだ経験」が必要になります。

――なるほど。長くプレイしている経験が必要になってくるんですね。
奥
オンラインゲームのプレイヤーには、「その場所に所属している」感覚があります。仕事が終わったらすぐにゲームを立ち上げて、そこにいる友達とコミュニケーションをとる。アップデートに一喜一憂する。そういう会話なども含めてオンラインゲームの場が育まれていきます。その空気感は知っていてほしいですね。
また、作り手として「観察」し、「批評的な視点」を持ってプレイしているような人に仲間に加わってほしいです。
――いっしょに働く人に期待していることや求めたい能力はありますか?
奥
弊社は、設立から10年程の組織(※5)ですが、もっと大きくしていきたいと考えています。今回の募集では、規模を拡大したときに中核を担える、いっしょに成功体験を語れるような人材を増やしたい。ゲームだけではなく、弊社の文化を創っていける仲間が欲しいです。
また、まだ数が少ないシューターの開発経験者も増やしたいので、「作りたいという思いが強い」人を探しています。※5 2009年10月1日設立。
中山
私のプロジェクトは、PCもコンシューマーもありますので、いずれかのハードで3Dのアクション、もしくはシューターを開発した経験があるとうれしいです。プログラマーは、オンラインゲームや、対戦型ゲームを作った経験がある方を求めています。
また、オリジナルIPになりますので、プランナーやデザイナーは「ゼロから世界観を作った経験」があるとありがたいです。
――世界を意識している必要があるということでしょうか?
中山
もはや日本市場だけを見てゲームを作ることは現実的ではありません。昨今は中国製ゲームをはじめ、海外産のゲームが市場を席捲しています。ワールドワイドで勝たないと生存できない時代になってきました。そのためにもまずは、世界市場を把握する事と、海外産ゲームがスタンダードになってきていることを認識してもらう必要がありますね。ですから、世界を意識している人、チャレンジ精神のある人には是非参加してほしいですね。
――採用選考についてお伺いします。応募書類や面接などではどこに注目していますか?
奥
現在はリモートで仕事をしている人が多いので、「リモートワークでも信頼関係が築けそうかどうか」を、面接ではしっかり見ています。ほかに重視しているのは、「これまでに遊んできたゲーム」「ゲームに対する熱量」「開発歴」です。例えば我々がラーメンを作ろうとしているのに、パスタが好きな人を採用しても仕方がない。「プロジェクトとのマッチング」もチェックしています。
中山
私のプロジェクトはUnreal Engine4を使用していますが、仮に経験がなくてもラーニングの機会を設けているので、ツールの習熟度より「(前述したような)意識を持っていて、ビジョンに合うか?」「コミュニケーション能力があるか?」ということを重視しています。
――今いるメンバーはどんな人が多いですか?特徴があれば教えてください。
奥
現在のプロジェクトでは、「とにかくやってみよう!」という人が活躍しています。決められた仕様に沿って作っていく開発スタイルではなく、「5割くらいおもしろくなる可能性があるなら実装してみよう」というノリで作っていることもあり、さまざまな意見が採用される素地があります。そのため、アイディアが豊富な人、チャレンジ精神に富んだ人が活躍しやすい環境です。
中山
世界志向を持つメンバーが多くなってきました。あまり話題になっていないインディーズのゲームでもとりあえず遊んで、おもしろければほかの人にも広める。参考になる部分がなければ次のゲームを探す…というように、研究熱心なメンバーが多いです。ゲーム以外から吸収できることも多いですから、映画などエンタメ全般を観ている人もいますね。
入社後の道は自分で選択し、世界で戦える人材へ
――バンダイナムコオンラインでは、どのようなキャリア形成ができるのでしょうか?
中山
PC、コンシューマー、スマホで世界と戦えるタイトルを作ろう、それをオリジナルIPで実現しようという会社自体が少なく、技術的・実績的な面におけるキャリア形成は問題なくできます。マネージャー(管理職)とプロフェッショナル(専門職)という2つの上位ポジションが用意されており、最終的にどちらを選ぶかはその人次第です。
また、その方のやりたいことや適性を見て配置を変更する事も可能です。実際に今のプロジェクトでも「絵も描きたいし3Dもやりたい」というメンバーがいまして、兼務していたりします。キャリア形成もチャレンジできる環境だと思います。
奥
毎月1回、1on1の面談もプロジェクトメンバーと行っています。その場でキャリア形成や進む方向性などを確認することが可能です。
――現在のプロジェクトに参加すると得られるものを教えてください。
奥
世界中の人からフィードバックがもらえるタイトルになりますから、クリエイターとして非常に良い経験になると思います。また、1日に1時間、テストプレイを実施しているのですが、そこでは立場や職種を超えて意見を出せるようになっています。そこに集まった意見を基に、翌日の作業内容が決まるというサイクルなので、楽しみながらゲームを作ることができると思います。ゲームが強いとそれなりに発言権が高まるので、そのために練習をしているメンバーもいるくらいです(笑)。
中山
世界に向けた大きなプロジェクトですので、開発経験として得られるものは多いと思います。あとは・・・新作発表や新要素の追加があると、外国人が「ファー!」「ウォー!」と喜んでいる動画がありますが、今回のプロジェクトでは「あの歓声を受ける立場」になりたいと思っています。世界を熱狂させるゲームを一緒に作りたいですね。
また、オリジナルIPですので、自分たちが0から作ったゲームのグッズが店頭に並んでいるという、既存のIP作品にはない、オリジナルIPならではの貴重な経験ができると思いますね。

PC向けオンラインアクションRPG『BLUE PROTOCOL(ブループロトコル)』
――最後に、これから仲間に加わる人にメッセージをお願いします。
奥
いっしょにゲームを遊びたいです。そして、世界に向けて、いっしょに頭に汗をかきながら、楽しみながらゲームを作っていきたいですね。
中山
アクションシューターを作りたい!という方は、Unreal Engine4が使えなくても、(アクションシューターの)開発経験がなくても、まずは応募していただきたいです。熱意が大事ですし、やり込んだプレイ経験は必ず開発に活かせます。
オリジナルIPのゲームをゼロから作るのも、本当に貴重な経験になると思います。
あとは、一緒にゲームをプレイしてくれる方もぜひ!

- 株式会社バンダイナムコオンライン 奥翔吾
-
「新規スマホ/コンシューマープロジェクト」プロデューサー兼ゲームディレクター。
バンダイナムコオンラインに転職して良かったことは、「同じ志を持つ」「ゲームに対する熱量が高い」メンバーと出会えたこと。

- 株式会社バンダイナムコオンライン 中山哲郎
-
「新規PC/コンシューマープロジェクト」プロデューサー。
転職して一番良かったのは、会社全体が「世界で勝負する」マインドで、現在のプロジェクトでチャレンジできていること。