ゲーム業界で企画・開発の経験を重ね、多くのユーザーに愛される作品づくりに携わってきた秋津さん。その一方で、「もっと新しい挑戦が生まれる環境をつくりたい」という想いを抱き、2025年にStudio AuKnowを設立しました。
目指すのは、ゲームという枠にとどまらず、エンターテインメントの可能性を広げること。そして、クリエイター一人ひとりが挑戦し、新たな価値を生み出せる場所を築くことです。
今回はシリコンスタジオ株式会社人財事業部キャリアアドバイザーチームマネージャーの小山が、秋津さんのこれまでのキャリアやStudio AuKnow設立の背景、社名に込めた想い、そしてこれから目指す未来についてお話を伺いました。
Studio AuKnowは2025年に設立され、現在は新規オリジナルIPのモバイルゲームを開発しています。社員数は約40名(2026年8月現在)で、新たな作品づくりと組織づくりの両面で挑戦を続けています。
まずは秋津さんご自身のことからお伺いしたいと思います。学生時代、進路を考えたときはどのような軸で就職先を選ばれていたのでしょうか。
実は、最初からゲーム業界だけを目指していたわけではありませんでした。大学院への進学も考えていましたし、映画や文化にも興味がありました。
ただ、その頃からずっと変わらなかったのが、「面白い人と働きたい」という気持ちです。
大学時代に出会った方々の影響がすごく大きくて、「こういう人たちと一緒に仕事ができたら、自分も成長できる」と思いました。
だから、会社の知名度や規模というよりも、「どんな人がいる環境なのか」を大切にしていました。
会社ではなく「人」を見ていたのですね。
はい、今振り返ってもその考え方はあまり変わっていません。面白い人が集まる環境には新しい発想や挑戦が自然と生まれますし、自分自身も刺激を受けながら成長できると思っています。
大学院への進学も考えられていたとうかがいました。その中で、最終的にゲーム業界を選ばれた決め手は何だったのでしょうか。
実は映画にもすごく興味があって映画関係の仕事も考えていました。ただ、募集のタイミングなどもあってご縁がありませんでした。
そんな中で「ゲームも映像と同じように人を楽しませる表現だ」と気付かせてくれた方がいて、それがゲーム業界に進むきっかけになりました。
だから「ゲームをやりたかった」というより、「面白い人と、面白いものをつくりたい」という気持ちの方が強かったですね。
その価値観が今のStudio AuKnowにもつながっていますでしょうか。
おっしゃる通り、会社をつくるにあたっても「どんな人と働きたいか」は一番大切にしていることの一つです。スキルだけではなく、新しいことに挑戦したいという気持ちや、ものづくりに真摯に向き合える人たちと一緒に面白いものをつくっていきたいと思っています。
Studio AuKnowでは、決められた役割の中だけで仕事をするのではなく、職種や肩書きも越境して「もっとこうしたら面白くなる」と提案できるチームにしていきたいと思っています。
就職された当時から新しい技術や時代の変化に興味を持たれていたそうですね。
当時から「これから世の中はどう変わっていくのだろう」ということにはすごく興味がありました。
最初から「新しいプラットフォームでエンターテインメントをつくりたい」という気持ちが強かったです。周りからは珍しいと言われましたけど、自分としてはその先にある未来のほうが面白そうだと思っていました。
当時から新しい技術やサービスに関して、常にアンテナを張っていらっしゃったのですね。
そうですね。
昔から「次に何が当たり前になるのか」を考えるのが好きです。
エンターテインメントも技術が変われば届け方も変わるので、その変化の中で挑戦したいという気持ちはずっとありました。
その頃から変化を前提にキャリアを考えられていたのですね。
一つの成功体験に留まるというよりは「次に何が起こるのか」を考えながら仕事をしていました。
エンターテインメントって技術が変わると楽しみ方も変わります。だからこそ、新しい表現や新しい届け方に挑戦できる環境に身を置きたいという気持ちがありました。
その後大型プロジェクトにも携わられていますが、当時はどのような状況だったでしょうか。
プロジェクト自体はすでに動いていたが、「もっと良くできる」という余地がたくさんある状態でした。
そこで、「企画からもう一度見直しませんか」と提案したところ、それを任せてもらえることになりました。
もちろん簡単なことではありませんでした。すでに進んでいるものを見直すのでチーム全体にも負荷がかかりますし、みんな疲れている状況でもありました。
チームをまとめるのも大変だったのではないですか。
一番苦労したのは、技術よりもモチベーションでした。
開発メンバーはみんな、本気でものづくりをしたい人たちです。でも、思うように進まなかったり、不安を抱えたまま開発していたりすると、どうしても気持ちが下がってしまう。
だからまずは「もう一度いいものをつくろう」という空気をつくることを意識しました。
チームの雰囲気を変えるために、特別に意識されていたことはありますか。
特別なことはしていません。
本当に小さなことですが、ちゃんと話をすることです。
挨拶をする、相手の話を聞く、自分の考えを伝える。
そういう積み重ねでしかチームは変わらないと思っています。
その経験は、今のStudio AuKnowでの組織づくりにも生かされていますか。
すごく生きています。
組織をまとめる方法って特別なことじゃないと思っていて。結局は、小さな積み重ねですよね。
ちゃんと挨拶をすることだったり、自分の考えをきちんと伝えることだったり、本当に基本的なことです。
最近は代表として動く時間も増えましたが、それでも一番大事なのは、メンバー一人ひとりとちゃんと話すことだと思っています。
当たり前のようで、意外と難しいことですよね。
はい、難しいです。
そして、自分一人で抱え込まないことも大切ですね。
得意な人には素直にお願いする。頼られることで力を発揮する人もいますし、チームでものづくりをする以上、お互いを信頼することが一番重要だと思っています。
大型プロジェクトで大きな成功を収められ「このまま次の作品づくりを続ける」という選択肢もあったと思います。それでも会社を立ち上げようと思われたのは、なぜでしょうか。
理由はいくつかありますが、一番大きいのは、やっぱり新しいものをつくることが好きです。
もちろん、一つの作品を長く育てていく面白さもあります。でも、自分としてはゼロから何かを生み出すことに強く惹かれますよね。
それと同時に、もう少し大きな視点でエンターテインメント業界全体を見たときに「もっと挑戦できる環境があってもいいじゃないか」と感じるようになりました。
業界全体を見たからこそ会社を立ち上げるという選択になったのですね。
今の業界には本当に素晴らしい会社がたくさんあります。一方で、大規模な開発に長い時間をかけるケースも多く「新しい挑戦をしたい」と思っても、なかなか実現しづらい部分もあると感じていました。
もっと多くのクリエイターたちが様々な形で挑戦できて、そこから成功事例が生まれるような環境が増えていけば、チャレンジする人も増えると思います。
そういう選択肢を自分たち自身で示したいという気持ちがありました。
会社を立ち上げるというより、「業界に新しい選択肢をつくりたい」という想いだったんですね。
はい、成功することももちろん大事ですが、「こういうチャレンジの仕方もある」ということを見せたい気持ちも強くありました。
そういう会社が一つでも増えると挑戦する人も増えていくと思っています。
会社をつくるという決断は大きな勇気が必要だったと思います。迷いはありませんでしたか。
もちろん不安はありました。
でも、これまで一緒に仕事をしてきた方々や、お世話になった方々に相談すると、「応援するよ」と言ってくださる方が本当に多かったです。
その言葉にはすごく背中を押されました。
それに、自分の立場だからこそ挑戦できることもあると思いました。
もし自分が一歩踏み出すことで、「こういう道もあるのだ」と思ってくれる人が増えたら、それだけでも意味があるじゃないかと考えました。
会社をつくること自体が一つのメッセージでもあるわけですね。
その通りです。
成功するかどうかだけじゃなく、「挑戦する会社が存在している」ということにも価値があると思っています。
そこから新しい挑戦が生まれていけば、業界全体も少しずつ元気になっていくじゃないかなと思っています。
もちろん、Studio AuKnowもまだスタートしたばかり会社なので、完成されていない部分はたくさんあります。だからこそ作品だけではなく、開発の進め方やチームの文化も含めて一緒につくっていける。自分の専門性を生かしながら「こういう会社にしたい」「こういうものをつくりたい」という意思を持って関われるのは、挑戦し始めた今のフェーズならではだと思います。
個人的にStudio AuKnowという社名がとても印象的でした。どんな想いを込められたのでしょうか。
名前を決めるまでには本当にたくさん案を出しました(笑)。
その中で最終的に大事にしたのは、「自分たちが何をつくる会社なのか」ということでした。
我々はただ作品をつくるだけではなく、一緒に働く仲間が集まり、挑戦していくための土台を築きたいと思っています。
その土台があるからこそ、新しい作品も、新しい挑戦も生まれていく。
そんな会社でありたいという想いをこの名前に込めました。
かなり悩まれたそうですね。
100案くらい出しました(笑)。
最初はもっと格好いい名前も考えていましたが、最後は一番自分たちらしいものが残りました。
会社の名前というより、「これから何を築いていくのか」を表せる名前にしたかったです。
社名そのものが会社のビジョンを表しているのですね。
会社というより「拠点」に近いイメージかもしれません。
クリエイターが集まり、挑戦し、新しい価値を生み出していく場所。
そんな存在になれたらいいなと思っています。

最近はAIについて質問される求職者の方も増えています。Studio AuKnowとしては、AIとの向き合い方をどのように考えていますか。
AIは積極的に活用していきたいと考えています。
もちろん、著作権や倫理的な配慮は前提ですし、そのルールはきちんと守らなければいけません。ただ、それを踏まえた上で、AIはものづくりの可能性を広げる技術だと思っています。
クリエイターの仕事がAIに置き換わる、という見方もありますよね。
個人的には、仕事がなくなるというより、「作り方そのもの」が変わると思っています。
これまでは、一人で時間をかけて積み上げていくような制作スタイルが中心でした。でもこれからは、AIと対話しながらアイデアを広げたり、一緒に試行錯誤したりするような、新しいクリエイティブの形になっていくじゃないでしょうか。
AIによって「量」を作れるようになるというより、「どう発想するか」「どう組み合わせるか」という「質」の部分がこれまで以上に重要になってくると思っています。
AIを使いこなすこと自体が新しいクリエイターのスキルになっていくということですね。
よく例え話としてお話しますが、昔は田植えをすべて手作業で行っていました。でも、今は機械を使って作業をするのが当たり前ですよね。
だからといって農家という仕事がなくなったわけではありません。求められる技術が変わっただけです。ただ、そのような変化が起こったとしても、核にある農家の皆様が「おいしいお米を生産したい」という想いは変わらない。
AIも同じだと思っています。
使う道具が変われば、求められるスキルも変わる。だからこそ、新しい技術を前向きに取り入れながら、自分たちの表現を広げていけるクリエイターと一緒に「面白いゲームやIPを作る」ことに挑戦していきたいですね。
求職者の方の中には、AIに対して不安を感じている方もいらっしゃいます。
もちろん、そういう気持ちも理解できます。
ですが、Studio AuKnowとしてはAIを「クリエイターに代わるもの」ではなく、「一緒にものづくりをするパートナー」と捉えています。
新しい技術を面白がれる人、新しい表現に挑戦してみたいと思える人には、きっとStudio AuKnowの環境を楽しんでもらえると思います。
Studio AuKnowにはさまざまなバックグラウンドを持った方が集まっていますよね。秋津さんはどんな組織にしていきたいと考えていますか。
やっぱり、ものづくりに真摯な人たちが集まる組織にしたいですね。
新しい会社なので、メンバーの多くは「ここで新しい挑戦がしたい」と思って集まってくれています。新規IPで世界に通用するコンテンツをつくりたいという気持ちを持っている人が多い印象です。
採用でもそうした想いを大切にされているのでしょうか。
もちろん個人のスキルも大切ですが、それ以上に「チームでものづくりをすること」を楽しめる人と一緒に働きたいと思っています。
少なくとも、大規模な商用ゲームは一人ではつくれません。
それぞれが得意なことを持ち寄って、お客様に喜んでいただけるものを一緒につくる。そのことに価値を感じられる人がStudio AuKnowには合っていると思います。
チームづくりで特に大切にしていることはありますか。
コミュニケーションですね。
ただ、「仲良くすること」が目的ではありません。
大事なのは「より良いものをつくる」という共通の目的をみんなが持っていることです。
そのためには、意見がぶつかることもあります。でも、それは悪いことではなくて、「もっと面白いものをつくりたい」という気持ちから生まれる議論なら、むしろ歓迎したいと思っています。
反対に、変化が多い環境なので「決められたことだけをやりたい」という方には、少し大変かもしれません。一方で、自分の専門領域を持ちながらも、周囲と議論したり、新しいやり方を試したりすることを楽しめる人には、すごく面白い環境だと思います。
率直に意見を言い合える環境を目指していますね。
遠慮して何も言えなくなるより、お互いがちゃんと考えていることを伝え合えるほうが、結果的にはいい作品につながると思っています。役職や職種に関係なく、「もっと良くできる」と思ったことは率直に言ってほしいですし、その意見をきちんと議論できる組織でありたいと思っています。
組織が大きくなっていく中で、どんなメンバーが増えていくと理想だと考えていますか。
同じタイプの人ばかりにはしたくないですね。
もちろん価値観を共有することは大切ですが、全員が同じ考え方になってしまうと、新しい発想は生まれにくくなると思っています。
だからこそ、いろいろな経験や価値観を持った人たちが集まる組織にしたい。
違うカルチャーが混ざることで、お互いに刺激を受けて、結果としてもっと面白いものが生まれると思っています。
多様性そのものがStudio AuKnowの強さになるわけですね。
はい。いろいろなバックグラウンドを持ったクリエイターが、それぞれの視点を持ち寄ることで、自分たちだけでは思いつかなかったアイデアが生まれる。そういう組織を目指したいと思っています。
最後に、Studio AuKnowとしてこれから目指していく未来について教えてください。
我々が目指しているのは、エンターテインメントをもっと発展させることです。
ゲームを中心に取り組んでいますが、それだけに限定するつもりはありません。
技術も、お客様の楽しみ方も、これから大きく変わっていくと思っています。その変化に合わせながら新しいエンターテインメントをつくり続けていきたいですね。
ゲームという枠を超え、新しい価値を生み出していくということですね。
はい。AIも含め、技術はどんどん変わっていきます。
だからこそ、その技術を使って「何を届けるのか」が、これからますます重要になっていくと思っています。
アニメやコミック、リアルイベントなど、さまざまな分野と組み合わせることで、これまでになかった楽しみ方を届けられる可能性があります。
そうした挑戦を続けながら、日本発で世界に通用するスタジオになりたいと思っています。
ただ、最初から「世界中の誰にでも受け入れられるもの」を狙うことが必ずしも世界で成功する近道ではないとも考えています。むしろ、まずは自分たちが一番理解している日本のお客様に本当に面白いと思ってもらい、大きな熱量を生み出せる作品をつくることが大切です。
まず日本で大きなヒットを生み出し、そこから世界へ広がっていく。そういう作品をつくり続けることで、日本発の世界に通用するスタジオになりたいと思っています。
最後に、Studio AuKnowに興味を持っている方へメッセージをお願いします。
自分たちでこれからの会社や作品、特に新規IPをつくっていくことに面白さを感じる方には、すごくマッチすると思います。何をつくろうとしているのか、どんなチームを目指しているのかを知ってもらい、そのうえで「一緒に挑戦したい」と思ってもらえたらうれしいです。少しでも興味を持っていただけたら、まずは気軽にお話しできればと思っています。
「挑戦できる場所をつくりたい。」
秋津さんのお話を通して、何度も耳にしたのは、この想いでした。
Studio AuKnowが目指しているのは、新しい作品を生み出すことだけではありません。クリエイターが挑戦し、多様な価値観が交わり、新しいエンターテインメントが生まれる土台を築くこと。その積み重ねが、やがて業界全体の可能性を広げていく——そんな未来を見据えています。
「エンターテインメントの発展をめざす」という思いのもと、Studio AuKnowはこれからも新たな挑戦を続けていきます。その挑戦からどのような作品や体験が生まれるのか、今後の動向にも注目です。
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