
「ポケットモンスター」(以下、「ポケモン」)は、30年近く、世界中の子供たちを夢中にしてきたお化けコンテンツです。本編であるナンバリングタイトルはヒットランキング1位が定位置であり、いずれも国内で数百万本、ワールドワイドで1,000万本を超えるセールスを記録。関連作品を含めた総販売本数は4億8,000万本以上を誇ります(2023年6月現在、株式会社ポケモン公式サイトより)。
「ポケモン」は、当初からメディアミックス戦略を採用したことも特徴で、コミカライズ、アニメ、カードゲームを中心に、さまざまなグッズ展開、スタンプラリーなどのイベント、各業界とのコラボなどを実施し、ゲームが発売されない時期も人々が目にしない日はないほどです。
今ではマリオと並ぶ代表的なタイトル「ポケモン」を、任天堂がどう育ててきたのかをあらためて確認していきましょう。
「ポケモン」の第1作である「ポケットモンスター 赤・緑」が発売されたのは1996年2月27日です。当時、アーケードの対戦格闘は盛り上がっていましたが、どちらかというとじっくり取り組むタイプの作品がヒットしており、「ゲームは一人で遊ぶことが多いもの」になっていました。
家庭用ゲーム機で同時プレイ可能なのはレースゲームやアクションなどが多く、ネットワークが発展途上だったこともあり、特にRPGにおいて自分以外のプレイヤーを意識することはほとんどありませんでした。
「ポケモン」が画期的だったのは、バージョンが「赤」と「緑」の2種類あり、それぞれに固有のポケモンが存在したことです。どちらか一方を遊んでいるだけでは、ゲームの目的のひとつであるポケモン図鑑を完成させることは不可能で、ゲームボーイの通信ケーブルを活用し、友達と捕まえたポケモンを交換する(通信交換する)必要がありました。
また、自分が育てたポケモンと友達が育てたポケモンを戦わせる通信対戦も用意され、タイプの相性やわざの使い方など、研究のしがいがある奥深い世界が広がっています。
友達と協力して図鑑を完成させる=ポケモンをコンプリートするコレクション性と、集めたポケモンを育てて友達と戦うバトル。それまでのゲームにほとんどなかった2つの要素が多くのプレイヤーを惹き付け、同じタイトルのバージョン違いが追加発売(限定発売だった「青」と、人気ポケモンをフューチャーした「ピカチュウ」)されるなど、異例のロングセラーになりました。
ボリュームが大きくなりがちなRPGは、開発に数年かかることが当たり前となっており、前作と新作までのあいだを空けずにリリースすることが難しいジャンルです。しかし、「ポケモン」は、1996年の「赤・緑・青」以降、比較的間を空けずに新作をリリースできており、前作の記憶が薄まらないうちに次の「ポケモン」で遊べる状況を生み出してきました。
これを可能にしたのが、「赤・緑」のときの「青」「ピカチュウ」のような追加バージョンの制作と、過去作をリファインして別のハードでリリースする体制の確立です。
「ポケモン」シリーズの発売年を見ると、これらを組み合わせることでユーザーが途切れることなく新作を楽しめるようにしていることがよくわかります。
| 発売年 | ハード | タイトル | 内容 |
|---|---|---|---|
| 1996 | GB | 赤・緑 | シリーズ第1作 |
| 1996 | GB | 青 | 「赤・緑」の追加バージョン |
| 1998 | GB | ピカチュウ | 「赤・緑」の追加バージョン |
| 1999 | GB | 金・銀 | シリーズ第2作 |
| 2000 | GBC | クリスタルバージョン | 「金・銀」の追加バージョン |
| 2002 | GBA | ルビー・サファイア | シリーズ第3作 |
| 2004 | GBA | ファイアレッド・リーフグリーン | 「赤・緑」のリファイン |
| 2004 | GBA | エメラルド | 「ルビー・サファイア」の追加バージョン |
| 2006 | DS | ダイヤモンド・パール | シリーズ第4作 |
| 2008 | DS | プラチナ | 「ダイヤモンド・パール」の追加バージョン |
| 2009 | DS | ハートゴールド・ソウルシルバー | 「金・銀」のリファイン |
| 2010 | DS | ブラック・ホワイト | シリーズ第5作 |
| 2012 | DS | ブラック2・ホワイト2 | 「ブラック・ホワイト」の追加バージョン |
| 2013 | 3DS | X・Y | シリーズ第6作 |
| 2014 | 3DS | オメガルビー・アルファサファイア | 「ルビー・サファイア」のリファイン |
| 2016 | 3DS | サン・ムーン | シリーズ第7作 |
| 2017 | 3DS | ウルトラサン・ウルトラムーン | 「サン・ムーン」の追加バージョン |
| 2018 | Switch | Let's GO! ピカチュウ・Let's GO! イーブイ | 「ピカチュウ」のリファイン |
| 2019 | Switch | ソード・シールド | シリーズ第8作 |
| 2021 | Switch | ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール | 「ダイヤモンド・パール」のリファイン |
| 2022 | Switch | LEGENDS アルセウス | シリーズ第9作 |
| 2022 | Switch | スカーレット・バイオレット | シリーズ第10作 |
※GB:ゲームボーイ、GBC:ゲームボーイカラー、GBA:ゲームボーイアドバンス、DS:ニンテンドーDS、3DS:ニンテンドー3DS、Switch:Nintendo Switch
ピカチュウを筆頭に、テレビアニメで人気になったニャース、毎年公開される劇場版でスポットをあてた伝説のポケモンなど、高いキャラクター性を活かしたスピンオフ作品の数々も、「ポケモン」人気を支えてきました。
本編ほどのインパクトを残せた作品はありませんが、シリーズ化されるものが大半で、20年越しに続編が発売されたものなど、いずれも息の長い人気作となっています。
| タイトル | ハード | 内容(ジャンル) |
|---|---|---|
| ポケモンスタジアム | N64 | ポケモンの管理と対戦 |
| ポケモンカードゲーム | GB/DS | ポケモンカードゲームの電子版 |
| ポケモンスナップ | N64/Switch | ポケモンの写真撮影 |
| ポケモンピンボール | GB/GBA | ピンボール |
| ポケモンコロシアム | GC | RPG+ポケモンの管理と対戦 |
| ポケモントローゼ | DS/3DS | パズル |
| ポケモンレンジャー | DS | アクションアドベンチャー |
| ポケモン不思議のダンジョン | DS/3DS | ローグライク |
| ポケパーク | Wii | アクションアドベンチャー |
| ポケモンスクランブル | Wii U/3DS | アクション |
| ポケモン立体図鑑 | 3DS | 鑑賞+AR撮影 |
| 名探偵ピカチュウ | 3DS | アクションアドベンチャー |
※N64:NINTENDO64、GB:ゲームボーイ、DS:ニンテンドーDS、Switch:Nintendo Switch、GBA:ゲームボーイアドバンス、GC:ニンテンドー ゲームキューブ、3DS:ニンテンドー3DS
| タイトル | ハード | 内容(ジャンル) |
|---|---|---|
| ピカチュウげんきでちゅう | N64 | 音声コミュニケーション |
| ポケモンでパネポン | GBC | パズル |
| ポケモンチャンネル | GC | コミュニケーション+アニメ |
| ポケモンダッシュ | DS | レース |
| バトル&ゲット! ポケモンタイピングDS | DS | タイピングアクション |
| ポケモン+ノブナガの野望 | DS | シミュレーション |
| ポケモンARサーチャー | 3DS | ARシューティング |
| ポケモンアートアカデミー | 3DS | ペイント |
| ポケモンピクロス | 3DS | パズル |
※N64:NINTENDO64、GBC:ゲームボーイカラー、GC:ニンテンドー ゲームキューブ、DS:ニンテンドーDS、3DS:ニンテンドー3DS
家庭用ゲーム機でリリースされた代表的なスピンオフタイトルだけでも数十作品、ほかにも専用チップを集めて戦うアーケードゲームは、2007年の「ポケモンバトリオ」を皮切りに、2012年に「ポケモントレッタ」、2016年に「ポケモンガオーレ」、2020年に「ポケモンメザスタ」と進化し続けています。同じくアーケードでは、「鉄拳」とコラボした「ポッ拳」も話題になりました。
さらに、歩数計でありながら「金・銀・クリスタルバージョン」と連動した「ポケットピカチュウ」、小型携帯ゲーム機の「ポケモンミニ」、2016年のリリースでありながら2023年もスマートフォンアプリでランキング上位をキープする「ポケモン GO」など、さまざまな関連作品が生まれています。
世界的な巨大コンテンツに育った「ポケモン」ですが、初めから大人気だったわけではありません。特に、最初の作品である「赤・緑」の発売当初は、一部のゲーム好きが話題にする程度の売れ行きであり、口コミで徐々に浸透していった経緯があります。
幻のポケモンのプレゼントや限定バージョン「青」の市場販売など、コロコロコミックを中心にしたプロモーションも寄与し、大きな波がやって来た「ポケモン」人気を一気に高めたのが、1997年に放送を開始したアニメです。
ポケモンマスターを目指す少年サトシとピカチュウの名コンビは、その時々のポケモンファンの心をつかみ、2023年3月までに1,200回を超える息の長いアニメ作品となりました(同年4月に主人公を交代して放送は続いています)。また、1998年からほぼ毎年公開されてきた劇場版も、(通常のプレイでは入手不可能な)幻のポケモンがプレゼントされる鑑賞券の効果もあり、高い興行収入を上げ続けています。
中には、億単位の値付けがされるカードが登場するなど、爆発的なブームとなっている「ポケモンカードゲーム」も、長らく「ポケモン」人気を支えてきた関連商品です。1996年、ゲームの世界観を活かしたトレーディングカードゲームとして登場し、最新のゲームに登場したポケモンをすぐに取り入れ、子供から大人までいっしょに戦える明快なルールを設定。国内外での大会の実施などを続けることでファンを拡大してきました。現在も新作は、予約販売でないと入手が困難なほどの人気を誇っています。
第1作の時点でほぼ完成されていた高いゲーム性、ネットワークの進化により世界中に広がった対戦・交換、定期的な新作のリリース、さまざまなジャンルで展開できるスピンオフ。そして、常に新しい世代を取り込むアニメと劇場版に加え、強烈なブームとなっているカードゲーム。盤石の体制は今後も変わらないことが予想される「ポケモン」だけに、人気が急落することは考えにくく、これからも長く任天堂を支えるタイトルであり続けることは確実です。
同じ規模の作品を一から築くことは困難ですが、世代を超えて愛されるヒントを見つけることは可能ですから、クリエイターの視点であらためて「ポケモン」と向き合ってみてはいかがでしょうか。
お気軽にお問い合わせ・ご相談ください!
お問い合わせフォーム
PICKUP求人