マイクロソフトといえばPCのOS「Windows」をはじめ、「Word」や「Excel」の開発販売元であり、世界でも指折りの巨大ソフトメーカーです。そのマイクロソフトが立ち上げたのが「Xbox」というゲームブランドでした(ゲーム機でなくブランドなのは、Windowsに標準搭載されているゲームアプリ名が「Xbox Game Bar」であることからも明らかです)。家庭用ゲーム機としては2002年に最初のマシン「Xbox」をリリース、以降3台のマシンを市場に送り込んでいます。
北米・ヨーロッパと並ぶ巨大な市場を抱える日本には、初代Xbox発売に合わせて多額の広告宣伝費が投下され、東京ゲームショウでは巨大なブースを設置、テレビをはじめとするメディアジャックを行うなど、派手なプロモーションが展開されました。さらに、発売初日にはSHIBUYA TSUTAYAに同社会長のビル・ゲイツ氏が登場。最初の1台の購入者に商品を手渡しするパフォーマンスも行われています。
世界市場をリードしていたソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のPlayStation 2(PS2)にはおよびませんでしたが、北米やヨーロッパでは多くのユーザーを集め、その後の「Xbox 360」や「Xbox One」「Xbox Series X/S」と代を重ねてきました。一方、日本では一部の好事家が愛用するマシンという位置付けに止まり、一般への普及には至っていません。
世界では人気のXboxシリーズがなぜ日本では受けなかったのか。その原因を初代Xboxから順にさかのぼってみました。

2002年2月22日、マイクロソフト初の家庭用ゲーム機「Xbox」が発売されました。当日は多数のメディアが取り上げ、その後もテレビ番組やCM、雑誌での露出が続き、大きなブームとなっているように見えましたが、いわゆるアーリーアダプター(新しい物好き)が飛びついただけで販売台数には結び付きません。同社の顔であったビル・ゲイツ氏をはじめ、本社の役員が幾度も来日し、そのたびに報道こそなされますが、SCEや任天堂のマシンとの差は開くばかりでした。
Xboxが日本のゲームファンの心をつかまなかった理由として、「本体がアメリカンサイズで家庭用ゲーム機としては大きすぎた」という説もありましたが、本当の理由は「遊びたいタイトルがなかった」からだといわれています。当時の担当役員が後日振り返ったインタビューでも、「日本のゲームメーカーや開発会社とのつながりがなかった」ため、日本人が喜ぶタイトルラインナップを揃えられなかったことを挙げています。
ローンチには「デッド オア アライブ3」「幻魔 鬼武者」「サイレントヒル2 最後の詩」「ジェット セット ラジオ フューチャー」と、日本を代表するゲームメーカーがタイトルを並べました。しかし、次にヒットしたのは同年4月25日に発売されたマイクロソフトの自社タイトル「HALO」、その次は9月12日にいかつい専用コントローラーとともに登場したカプコンの「鉄騎」、その後は翌2003年1月23日の「デッド オア アライブ エクストリーム ビーチバレーボール」と3月27日の「ソウルキャリバーII」くらいで、話題作と次の話題作のあいだを埋める作品に恵まれませんでした。
インテル製のCPU、NVIDIA製のGPUを積み、HDDも標準搭載と高い性能を誇るXboxですが、ライバルより優れていたのはオンラインサービスの「Xbox Live」です。日本では2003年1月16日に提供が始まり、PCと共通の「Windows Live ID」を使用することでサインインを簡略化。自分と同じレベルの対戦相手とのマッチング、対応タイトルでのボイスチャットなど、オンライン時代ならではのプレイスタイルを実現していました。
Xbox Liveのサービスインと同日に発売された「Xbox Live スターターキット」には、セガの人気オンラインRPG「ファンタシースターオンライン エピソード1&2」が同梱されており、多くのプレイヤーが同時プレイを楽しんでいます。
360°すべてのエンターテイメントを体験できるマシンとして、2005年12月10日に登場したのがマイクロソフト2代目の家庭用ゲーム機「Xbox 360」です。IBMと共同開発したCPU、ATIと共同設計したGPUで処理能力を高め、5.1チャンネル対応のサウンドで表現力もアップ。さらに、PC(Windows)との連携も深まったXbox 360は、各国で初代以上の支持を集め、全世界で8,000万台を超えるメガヒットとなりました。
本体と同時に「リッジレーサー6」「パーフェクトダーク ゼロ」など国内外の人気タイトルを発売し、12月中に「真・三國無双4 Special」「デッド オア アライブ4」を投入するなどラインナップの拡充に努めます。その後も、「デッド オア アライブ エクストリーム2」「ブルードラゴン」「アイドルマスター」を追加。さらに、世界的ヒット作である「Halo 3」を2007年9月27日に発売し、国内でも初代Xboxを超える台数の販売につなげました。
2010年11月20日、従来のコントローラーではなく、自分の体の動き(ジェスチャー)や音声認識でより直感的なプレイを可能とする「Kinect for Xbox 360」が登場します。まったく新しいゲームの操作方法は特に海外で高い評価を受け、後継機種の「Xbox One」に引き継がれたほか、Windows PCでも使える「Kinect for Windows」も発売されました。
体を動かすことと親和性の高いスポーツゲームだけでなく、「Halo: Combat Evolved Anniversary」や「Forza Horizon」といった対応タイトルも、2012年までは月平均1本以上発売されるなど、国内でも一定の市場を形成しています。
海外では2013年11月22日に発売されていた「Xbox One」の国内販売がスタートしたのは2014年9月4日。Xbox Liveを強化した「Xbox ネットワーク」により、同一タイトルをWindows 10とXbox One双方でプレイできるようになるなど、PCとの連動が強化されています。ローンチタイトルは過去最高の18作品。「デッドライジング3」「Forza Motorsport 5」「アサシン クリードIV ブラック フラッグ」「ウォッチドッグス」「バトルフィールド4」など、海外で大ヒットしたものが並びましたが、日本オリジナルタイトルはコーエーテクモゲームスの「無双OROCHI2 Ultimate」だけでした。その後も、国内ゲームメーカーはXboxおよびXbox 360での経験から、日本国内に特化した作品ではなく、ワールドワイドに売れるタイトルを中心にリリースしていくことになります。
その後、2016年11月24日に小型廉価版の「Xbox One S」、2017年11月7日に機能強化した上位機種「Xbox One X」、2019年5月7日には光学ドライブを省いた「Xbox One S All Digital Edition」を発売しました。いずれも、日本国内では小売店でほとんど見かけない幻のマシンとなっています。
パッケージでの販売は少なくなったものの、配信専用タイトルがコンスタントにリリースされたこともXbox Oneの注目ポイントです。2014年から2017年は年間数十タイトルに過ぎませんが、2018年には年間100タイトルを超え、2019年は250、2020年には180、2021年は340をそれぞれ超える作品がダウンロードできました。
2022年も10月21日現在で350タイトル以上が配信されるなど、新作はもちろん、過去に他機種などでリリースされた旧作、インディーズ作品などが市場を賑わせています(ほとんどのタイトルが後継機種であるXbox Series X/Sにも対応しているので、Xbox One単独の市場ではありません)。
2020年11月10日、Xboxシリーズの現行機種「Xbox Series X/S」が発売されました。性能はこれまでの最上位機種Xbox One Xを大幅に上回り、ボイスチャットアプリ「Discord」との連携、SSDにプレイ状況を保存して次回起動を早くする「クイックレジューム」の搭載など、ゲーマーに優しい機能を備えています。さらに、Xbox Oneのほとんどのタイトルだけでなく、XboxやXbox 360の一部タイトルもプレイ可能になりました。
国内市場は一部マニアのものとなっているため、パッケージ版のリリースは極めて少なく、2022年10月21日までに9タイトルしか発売されていません。なお、多くのタイトルが配信専用でリリースされているため、プレイ可能なタイトルは800弱と強力です。
日本では、初代Xbox発売時のように多くの予算をかけて露出を増やしても、Xbox 360のように国内向けタイトルを拡充しても、販売台数に結び付きませんでした。その結果、マイクロソフトは日本市場を事実上ないものと考え、日本のゲームメーカーもオリジナル作品を制作するのではなく、他機種と同じタイトルを配信専用で展開するだけにとどめています。最新機種であるXbox Series X/Sが普及し、大きな利益が期待できる北米やヨーロッパに注力するのは当然の帰結です。
日本でXbox Series X/Sを保有し、日々プレイしているユーザーは限られていますが、それだけ熱烈な支持者であることは確かですから、彼らに向けたタイトルを配信専用でリリースするというスモールビジネスは成り立つ可能性があります。
また、より視野を広げ、世界のユーザーに受けそうなタイトルを(配信専用で)出すことで、思わぬヒットを得られるかもしれません。PlayStation 5とは別のアプローチで進化を遂げたXbox Series X/Sでのゲーム制作は、クリエイターとしての成長につながるもの。一般ユーザー向けの「リテールモード」から、ゲーム制作ができる「開発者モード」への切り替えはマイクロソフトも認めているので、ぜひ挑戦してみてください。
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