フリーランスや副業、在宅ワークなど人々の働き方が多様化しています。ゲームや映像制作にかかわるクリエイターの中には、
会社に属さず個人で仕事を請け負う「業務委託」という働き方に注目している人も多くいるでしょう。
「業務委託」とは実際にはどのような働き方なのでしょうか。業務委託の契約の種類や正社員・契約社員・派遣社員といった他の働き方との違い、
業務委託で働く際のメリット・デメリット、注意点などについて解説していきます。
「業務委託」とは、
雇用関係のない企業などから委託を受け、自己の裁量と責任においてその業務を行ったり、成果を納品したりして報酬を受け取る働き方のこと
をいいます。
企業と対等な立場で仕事(案件)単位の契約を結び、個人として仕事を請け負う業務委託は、
具体的には「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の3つに分かれています。
一般に「業務委託契約」とは、民法上に規定されている「請負契約」「委任契約」「準委任契約」といった3種類の契約の総称として使われています。
ここからは、それら3種類の契約形態の違いについて見ていきましょう。
「請負契約」とは、成果物の完成を約束する契約であり、契約書によって定められた期限までに、完成した成果物を納品することで報酬が支払われます。
したがって、作業方法や労働時間、勤務地などが成果として問われることはなく、成果物によってのみ仕事の完成が判断されます。
例えば、「期日までにゲームシナリオを3本納品する」という業務委託契約であれば、クリエイターの作業時間が1日であっても2週間であっても、納品する成果報酬は変わりません。
「委任契約」「準委任契約」とは、業務の遂行を約束する契約であり、
実際に業務を行ったことに対して報酬が支払われます。
請負契約と同じく、作業方法や労働時間、勤務地などが成果として問われることはありませんが、
受託者が成果物の完成責任を負わないという点において請負契約とは異なります。
委任契約と準委任契約は、法律行為を伴うか否かによって区分されます。弁護士や税理士などの法律行為を伴う事務処理を委託する際には委任契約を結び、 法律行為以外の事務処理を委託する際には準委任契約を結びます。
「業務委託契約」以外の契約形態としては、「雇用契約(正社員・契約社員など)」や「派遣契約」などが挙げられますが、これらにはどのような違いがあるのでしょうか。
ここからは、それぞれの契約形態の違いについて見ていきましょう。
「雇用契約」とは、正社員や契約社員、アルバイト、パートなどの労働者が、企業などの使用者と結ぶ契約形態
であり、その労働力に対して報酬が支払われます。
したがって、委任契約や準委任契約と同じく、成果物の完成責任を問われることはありません。
しかし、指揮命令権が労働者側ではなく使用者(企業)側にあるという点で、業務委託契約とは異なり、使用者側の決めた時間や場所での労働に対して、月給や時給などの給与が支払われます。
「派遣契約」とは、派遣元である派遣会社と派遣先会社が結ぶ契約であり、雇用契約と同じく労働力に対して報酬が支払われるため、成果物の完成責任を問われることはありません。
また、労働者は派遣社員として、派遣会社と雇用契約を結びますが、実際の労働に対する指揮命令権は、一般的に派遣会社ではなく派遣先会社がもっています。
したがって、労働者や派遣会社ではなく、派遣先会社の決めた時間や場所での労働に対して、月給や時給などの給与が支払われます。
実際に業務委託で働く際には、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
リスクや注意点とともに見ていきましょう。
フリーランスとして業務委託で働く場合、その自由さこそが最大のメリットだといえます。
企業と雇用契約を結んで働く会社員は、決められた時間や場所で、決められた業務を行うことが必要になってきますが、
業務委託であれば、自分で自由に決めた時間や場所で、得意な業務や仕事だけを選んで行うことができます。
また、会社員は毎月決まった給与しかもらうことができませんが、フリーランスとして業務委託を受ける場合、
自分の裁量次第で自由に高収入を目指すことも可能でしょう。
業務委託は、その自由さがメリットである反面、なにもかもを自分で行う必要があるといったデメリットも存在します。
フリーランスで働く場合、労働基準法などの労働法が適用されず、会社員であれば企業が代わりに行ってくれる、
確定申告といった税務処理や保険料の支払いなどをすべて自分で行う必要があるのです。
また、仕事の獲得や企業への交渉などもすべて自分で行う必要あるため、収入も不安定になりやすく、今後のキャリア自体も保証されていません。
業務委託のメリットやデメリットについて見ていきましたが、では一体どのような人が業務委託に向いているのでしょうか。
フリーランスとして業務委託で働くことを検討している人は、以下の特徴が自分に当てはまっているかどうか確認してみましょう。
その自由さこそが、フリーランスとして業務委託で働く際の最大の特徴であるため、自分自身で裁量をもって、
自由に働くことを楽しめる人でなければ、業務委託に向いているとはいえません。
自分の強みや専門性を理解した上で、それらを活かして仕事をしたいという人は、業務委託に向いているでしょう。
また、企業に勤める会社員とは違い、誰かが代わりにスケジュールや体調を管理してくれることはないので、
自分でしっかりと身の回りのマネジメントを行う能力が求められます。
業務委託契約を結んでフリーランスや副業にて仕事を行う際、 その条件によって自身での確定申告が必要となるケースがあります。
会社員であれば、毎月の給与から所得税や住民税、源泉徴収税などの税金があらかじめ天引きされるため、勤務先の会社や派遣社員の場合は派遣元器用で年末調整を行うことで、所得税の申告が可能になります。
しかし、業務委託で働いており、報酬から源泉徴収がされていない場合は、自分自身で確定申告を行うことで、所得税を支払う必要があります。
また、フリーランスや副業で働く場合、収入の管理はすべて本人が行っているため、自分自身で確定申告を行わなければなりません。
具体的には、以下の条件に当てはまる場合、確定申告が必要となります。
本業として業務委託を受けている場合、合計所得金額が2,400万円以下であれば、基礎控除である48万円を年間所得から差し引くことができます。(※2020年度税制改正)
したがって、年間所得が48万円以下である場合は、そこから基礎控除の48万円を差し引くことで、課税所得が0円になるため、
確定申告が不要となるのです。
また、副業として業務委託を受けている場合、収入は基本的に雑所得として計上され、
年間所得が20万円以下であれば、確定申告が不要となります。
ただし、給与所得および退職所得以外の所得合計額が20万円を超える場合や、給与所得が2,000万円を超える場合には、確定申告が必要となるため、注意が必要です。
業務委託の種類や正社員・派遣社員との契約の違い、業務委託で働く際のメリット・デメリットや注意点などについて解説してきました。
働き方が多様化している今、業務委託に限らず、自分自身に合った働き方を見つけることがより大切になってきています。
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