ゲーム業界用語解説 ― Unreal Engine(アンリアルエンジン)とは?

Unreal Engine(アンリアルエンジン)とは?
― ゲーム業界用語解説

「Unreal Engine」(以下、UE)とは、アメリカのEpic Games(エピック ゲームズ)社が開発したソフトウェアで、 「Unity」と並ぶ業界のスタンダードとなっているゲームエンジンです。 ゲーム開発はもちろん、建物や自動車の設計のほか、映画、アニメーション、テレビ番組の制作など、幅広い分野で活用されています。

エンジンの名称となっている「Unreal」は、元々Epic GamesがリリースしたPC向けのFPS(First Person Shooter)のタイトルです。 このゲームを制作するために作られたミドルウェア=UEをライセンス販売したことが始まりで、3Dゲームの制作に必要な機能が充実していたことから、 世界中のゲーム開発会社が採用し、シェア拡大に足並みをそろえるようにバージョンアップを繰り返してきました。

リリースからしばらくのあいだは月額のライセンス販売方式をとっていましたが、 2015年に当時の最新版であったバージョン4(UE4)を無償提供(ただし、UE4を使って制作・販売したゲームが一定の売上を達成した場合にロイヤリティを課す)したことで、 個人や小規模デベロッパーにも広まっていきます。任天堂やSIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)、 マイクロソフトといったハードメーカーの戦略とも相まって、インディーゲームの隆盛を支えることになります。

ゲーム業界では長らくUE4が使われてきましたが、PlayStation 5(PS5)の発売公表(2020年5月14日)に合わせて、 Unreal Engine 5(UE5)が発表されました。これは、「PS5でのゲーム制作をUE5が担う」というSIEとEpic Gamesのメッセージでもあり、 ハイエンドタイトルに関わるゲームクリエイターは、少なからず関わる(使う)ことになるでしょう。2022年4月6日に正式版がリリースされました。

Unreal Engine(アンリアルエンジン)とは ― ゲーム業界用語解説

Unreal Engineでできること

あらゆるゲーム制作に必要な機能が実装されているUEですが、最大の特徴は「プログラミングを行わずにゲームが作れる」ことです。 「ブループリント ビジュアル スクリプティング システム(ブループリント)」という事前に設定されたアクション(機能や動作)を利用すると、 「キャラクターの動作やオブジェクトの動きに連動して効果音を鳴らす」といった演出を、一切のプログラミングなしで実施することができます。 UEのブループリントは、一般的なゲームで使われるほぼすべてのアクションをフォローしているため、プログラマー不在でもゲームを組み立てることが可能になりました。

元になった「Unreal」がFPSだったこともあり、UEが最も得意とするジャンルは3Dのアクションゲームです。特にFPSやTPS(Third Person Shooter)といったシューティング、 オープンワールドのアクションなどはテンプレートも豊富で、基礎知識があれば比較的容易にベースとなるゲームを制作することができます。
例えば、「ランドスケープツール」で山や谷、洞窟などをデザインし、できた地形を「グラスツール」で草花や石で覆い、「ウォーターシステム」で海や川を追加。 さらに、空や雲、光と影、風の計算といったことまで、すべてツールでまかなうことが可能です。

人物や建物などは、「3ds Max」「Maya」「Revit」「SketchUp Pro」といった専用のソフトウェアで作成することが一般的ですが、 こうした外部のソフトウェアで制作したデータをシームレスに変換・統合できることもUEの特徴のひとつです。
取りこんだデータのレンダリングを行い、ライティングやシェーディングを施せば、実写と見まがうようなキャラクターやオブジェクトが完成します。 また、建物の破壊や車両の挙動、炎や煙といったエフェクトなどをリアルタイムシミュレーションできる「Chaos」では、物理計算が必要なあらゆる場面を確認、修正することもできます。

さらに、AI(人工知能)の搭載やVR(仮想現実)コンテンツの開発が行えるほか、マルチプラットフォーム対応、アニメーション制作など、 ハイエンドからスマートフォン、ブラウザゲームまで、あらゆるゲーム制作に必要な機能が整っています。

Unreal Engine 5の新機能

ゲーム制作に必要十分な機能を備えているUEですが、UE5でさらにパワーアップを遂げることが明らかになっています。 その代表的な機能が、「Nanite」と「Lumen」です。

新機能である仮想化マイクロポリゴンジオメトリ「Nanite」の搭載により、UE5では数億~数十億ポリゴンという高品質データを直接取りこめるようになりました。 従来はデータが重すぎて不可能だった「映画レベルのアートをそのまま取りこめる」ようになったことで、表現の幅が大きく広がります。 品質の低下も起こらないため、アーティストが描きたい世界を、そっくりそのままゲーム上に再現することが可能です。

もうひとつの新機能である動的グローバルイルミネーション「Lumen」は、場面の転換やライトの変化をリアルタイムに反映するしくみです。 時間経過による太陽角度の変化、懐中電灯の点灯、天井に穴を空ける爆破シーンなどにおける間接ライティングがリアルになることで、 動的なシーンをより多く取り入れられるようになりました。また、開発環境でライトの角度や明るさの設定を変更した場合、 画面も即座に反応するようになり、「ライティングの変更は計算時間がかかる」というデザイナーあるある(常識)も、UE5では無縁のものとなっています。

UE5は2021年5月に早期アクセス版、2022年2月にプレビューリリース版がそれぞれ公開され、2022年4月6日に正式版がリリースされました。

次世代機だけでなく、PCやスマートフォンにも対応しているUE5は、今後のゲーム制作でも欠かせないエンジンのひとつ。 ゲームプログラマーはもちろんのこと、プランナー、デザイナーポジションに従事するゲームクリエイターも常に最新の情報をチェックし、 いつ自身の開発環境に取り入れられても大丈夫なように準備しておきましょう。

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